去る6月のスパコンの世界ランキング「Top500」発表では、理化学研究所と富士通が共同開発している「京」が1位になっているが、「シミュレーション精度や解析計算速度が飛躍的に向上し、例えば、高効率な太陽光発電に資する新材料開発の加速、防災計画に資する精密な気象予測や地震・津波影響予測など、産業応用から国土・国民の安全に関わる幅広い分野において大きな貢献が期待される」としていた。
東京大学先端科学技術研究センター藤谷特任教授らが、「京」を使った創薬研究プロジェクトを始めており、疾患に関連するたんぱく質へのくっつきやすさを京で素早く計算し、有望な医薬候補を選び出そうという試みを日経記事が紹介している。
従来のスパコンでも同じことはできるが、計算量が膨大で、計算速度が遅い5年前のスパコンをフル稼働しても1個の化合物の計算に10カ月かかるところを、京なら10個の化合物の計算をわずか1時間で終えられるという圧倒的な効用があるようだ。
実験をせずにコンピューターの中で創薬設計をするのは長年の夢と言われており、段々これに近づいているようだ。
一方、スパコンの能力に対する要求には留まるところがなく、以前から理論上のコンピュータとされ、膨大な量の計算を同時並行で実行する「量子コンピューター」の計算原理で、現在のスパコンで年単位の時間がかかる計算をわずか1秒以内ででき、手のひらサイズのスパコンの夢を可能とさせる技術を、国立情報学研究所の山本喜久教授らが考案し、実用化は比較的近いとみて試作機の開発に向けて電子機器メーカーと準備を始めているとのニュースが紹介されている。
問題の入力から答えを求める際にレーザー光を活用、光回路に解きたい問題を組み込み、レーザー光を入れるとレーザー光は光回路に合う状態に変わり、答えを出すという手法のようだ。
新薬や材料開発で利用するスパコンでは、多数の条件を入力して、それを満たす候補の中から最適な答えを求める必要があるが、この原理を使えば、こうした問題に適した解答が素早く得られるということらしく、夢のある技術にはきりがないという思いがする。
