マンハッタン在住のフリージャーナリスト肥田美佐子さんのレポートにあるように、1万人の従業員を抱える米書店チェーン2番手のボーダーズ・グループが、予想以上に早く事業を清算することになった原因は、電子書籍化の波に乗り遅れた点にあるようだ。
 
同社は、ネット時代、デジタル化への対応でアマゾンにネット販売をアウトソースし従来の店舗販売からネットへと大きく変貌を遂げていく重要な時期に自らEコマースの基盤を構築、学び取るチャンスを逸してしまっている。
 
更に、電子書籍事業化に関しては常に出遅れており、米国書店チェーン最大手のバーンズ・アンド・ノーブルは、アマゾンのキンドルより2年遅れながらも電子書籍端末「ヌック」を売り出し、その後、タブレット型の「ヌック・カラー」を発売、最新モデル「オール・ニュー・ヌック」は、139ドル(約11000円)という低価格などが話題を呼び、米消費者のバイブルと言われる「コンシューマー・リポーツ誌」の評価でキンドルを抜き、今年第1四半期には、売り上げでもヌックがキンドルを抑え、電子書籍端末でトップにいるらしい。
 
米国での電子書籍化の動きは激しく、あおりを食って今年前半のハードカバー販売が前年同期比で23.4%減、通常のペーパーバックが17.9%減、廉価で小型版のマスマーケット・ペーパーバックが30.1%減と、かなりの落ち込みのようである。
 
ところで、シリコンバレー在住のコンサルタント海部美知さんによると、電子書籍化自体、米国でのスタートはむしろ遅く、2007年時点の各種推計によると、当時の米国の書籍全体に占める電子書籍の比率はわずか0.2%にとどまっていたが、一方、日本の比率は2%あり、日本の方がはるかに進んでいたという一寸信じられない状況であったらしい。
 
規模に関しても、日本で大半となっている携帯電話向けのコミックを含めると、日本の「電子書籍」市場は2010年売り上げは650億円規模、一方、米国は44130万ドル(約360億円)規模、ということである。
 
2007年にアマゾンのキンドルが発売され、その後「専用端末」としては、ソニーの「Reader」や大手書店バーンズ・アンド・ノーブルの上記の「ヌック」など、更にアップルがスマートフォンのiPhoneiPadなどの多機能端末でも、キンドルのアプリを載せたり、アップルのiBookを利用するなどの方法で、電子書籍を読むことができる時代になってきた。
 
電子書籍化の動きは、学校にも押し寄せており、フロリダ州では、今年、誕生した新法下、1516年度までに全公立校で紙の教科書が廃止され、電子書籍に移行する予定とされているし、お隣韓国では、15年までに全学校で教科書のデジタル化を完遂させると発表するなど、若い世代から電子書籍に慣れ親しむ社会環境が近づいていることを感じる。
 
日本のコンテンツも本格的な書籍に対応して電子化に向かう流れは、今後間違いないと見えるし、その時、紙を手にして親しんできた習慣がどうなるのか一寸わからない面もある。
 
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