マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボの所長に就任予定の デジタルガレージ取締役伊藤穣一さんのインタビューが日経新聞電子版に紹介されている。
大学中退で学位を持っていない同氏が学術機関のトップとしては極めて異例の人事と言われていることに関し、(フェイスブックを創業した)マーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツ、スティーブン・ジョブスなど大学を中退している人も多いことをあげ、学位よりも実際のインパクトの方が重要だという意思表示を(今回の人事に)込めたのではないかとしている。
あるテーマをイノベーション(革新)やインパクト(社会への影響)にしていくパスウェー(道筋)として、シリコンバレー的なベンチャー起業モデルがベストとは限らず、メディアラボがシリコンバレーの中心にあるスタンフォード大みたいになる必要は全くないとも思っているようだ。
シリコンバレーのスタンフォード大は在学生がヤフーを生み、グーグルを生んだ、いわばベンチャー起業家の養成機関的な役割を果たし、地元シリコンバレーの起業家、経営者による授業も多く、学長のジョン・ヘネシー氏も起業経験がありグーグルの取締役も務めるといったように、大学の内と外の壁が限りなく低く、結果的にシリコンバレーでの産学の連携や交流が極めて盛んになっている。
ただし、ベンチャー企業は5年先のビジョンは描けるが、それより長いスパンのビジョンを追求するのは苦手で、そこはアカデミックな機関の得意領域と捉えており、国籍や分野、世代を問わない知性とのコラボレーションを導入すれば、アカデミズムの新境地を開けると期待している模様である。
産学連携の進め方、役割、貢献の仕方と言う面で面白いと思う。
ところで、日本では官を加えた産官学連携という形態につき功罪が議論されることも多いようである。
例えば、宮田秀明教授などは、産業振興の中でまず改める必要があるのは、行政がよく使う委員会方式とし、行政と産業が共同で進める産業振興政策の“お目付け役”が、委員会の本来の役割であるのに、“追認役”を務めていることに大きな問題があるとし、原発に関しても、経産省と電力事業者と重電メーカーと大学の有職者がムラを作って原子力発電産業政策を進めてきた点の問題を指摘している。
ただ、産学連携のみではやはり限界があり、蓄電のビジネス化や二次電池の普及を目指すプロジェクトは、国の産業政策との連動が欠かせないため参画貢献しているようだが、官のスタイル、例えば、復興構想会議を典型例として、30万人の被災者がいるということは、ほとんど戦時ということなのに、週1回程度のピッチで会議を開いて提言するというのは、ほとんど最低のマネジメントだとし、戦時や米国の911クライシスの時と同じように、毎日24時間体制で危機を乗り越えるマネジメント――正しい組織を編成して、議論し、意思決定し、実行する――を毎日行わなければならないと提言しているのは、国を引っ張っていくマネジメント、リーダーシップと言う面で的を得ていると思う。
