東京電力は、電力供給がピークを迎える7月末に向け、想定供給力を5200万キロワットから5500万キロワットに引き上げ、夏を乗り切れるだけの電力確保に努めるようだ。
日経記事によれば、産業界は電力不足対策を本格化し、化学、石油業界などは自家発電設備の稼働率を上げて東京電力/async/async.do/ae=P_LK_ILCORP;bg=0002021;dv=pc;sv=NXからの調達を減らし、余剰分を東電に供給する計画という。
化学業界では自家発電設備の発電でコンビナート全体の電力をまかなった上で余剰分を東電に供給、都市ガス、石油のエネルギー業界は、IPP(独立系発電事業者)として手がける火力発電設備の稼働率の引き上げ、鉄鋼業界では製鉄所内の火力発電を休日も含めた24時間体制にし、JR東日本は自社の水力・火力発電所の稼働率を1割引き上げるなどの動きがあるようだ。
このように東電管内に大規模な自家発電装置を持つ主要企業20社が積み増した発電量の集計では、原子力発電所1基分以上の150万キロワットを超える計算で、関東地区には約1640万キロワットの自家発電設備があり、昨夏の平均稼働率は5割強で、計算上は約750万キロワットの余力があるといい、経済産業省は25%としている企業の使用電力の削減目標を引き下げ、15%を軸に調整しているとのことである。
大前研一氏は、節電対策として、サマータイムの導入、曜日の平準化(企業は「土日休み」をやめて1週間のうち5日間ずつ希望の曜日に営業・操業する)、高校野球・夏の甲子園中止(または放送中止)、一般家庭より割安に設定されている大口需要家の料金アップ、15%削減しない個人・法人に超過料金のペナルティ課金、午前8時~午後6時の料金2倍化、夏休みを7~9月に平準化するなどが考えられると提言している。
ところで、このうち夏時間サマータイム(米国ではデイライト・セービング・タイム: daylight saving time DST)については、明るい時間を有効に使えるので照明などの消費の節約になりまた企業の経費削減にもなるなどの効果が言われる一方、近年は冷房が各家庭に普及しているため、明るいうちに帰宅すると暑い時間を家で過ごすことから冷房需要が増え照明の節約効果以上にエネルギー消費量が増える、始業時刻は夏時間でも、終業時刻は外の明るさを基準にする人が出れば、逆に残業が増加する 、夏時間の制度を導入すると、コンピュータを利用する各種システムに自動的に時刻を切り替える機能を追加、あるいはシステムを更新しなければならないなど、移行コストが膨大、特に信号機や鉄道運行などの交通システム、銀行や証券取引などの金融機関、時刻により自動的に管理されている医療機器などに大きな影響があるといった懸念も出る。
海外に出るとこのサマータイムに注意を払う必要があるが、最初だけ戸惑ったがその後は慣れてしまい、現地の人たちも自然に対応できていると思う。
ただ、米国もヨーロッパも広い面積に応じて元々時差を持っており、時計の時間を切り替えることに比較的違和感は少ないような気もする。
国内では、占領下にあった1948年から1952年まで、5月から9月の期間、サマータイムが施行されたが独立と共に廃止されている。
今回の非常時に対し、森永乳業はすでに実施、東京証券取引所は7月から9月の3カ月間サマータイム制を導入し就業時間を1時間前倒しすると発表、ソニーでは東京電力管内にある研究所を含めたソニー本体の社員を対象に勤務時間を1時間程度前倒しする見通しなど各種の動きがある。
WSJの「肥田美佐子のNYリポート」で、日本のエネルギー政策を専門とし東電の国有化などについて精力的に講演や寄稿を行っている、テンプル大学ジャパンキャンパス・現代アジア研究所ノンレジデントフェローのポール・スカリス氏のインタビューを載せている。
米国で、サマータイム支持のよりどころとなっているのは、オイルショック後、75年に発表された米運輸省の調査結果で、それによると、サマータイム制は、エネルギー消費量を日に約1%引き下げ、石油消費量を年30万バレル抑えるのに大きな効果を発揮するというものだが、当時のテクノロジーが現在とは様変わりしていることに留意すべきで、当時、家庭で最も電力を食ったのは、夜間のテレビ使用などだったが、現在、最もエネルギー集約型の家電製品は、エアコンやコンピューターなど、幅広い時間帯にわたって使用されるものであり、インディアナ州を対象にした、ある大学の調査では、サマータイム制は起きている時間が長くなるから電力消費を増加させるかもしれないという結果も出ているとのことである。
どうも効果の点からは、全国一律のサマータイム導入より、企業や各種組織単位の実質的なサマータイム、シフトタイムの導入、夏休みや土日・平日の平準化と、料金アップによる各家庭での節電努力(例えば午前8時~午後6時の料金2倍化)といったところが有効なのでないだろうか。
