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日経ビジネス(オンライン)に住田光学ガラスの青色半導体レーザーと光ファイバーを利用した白色光源の開発ストーリーが紹介されているが、技術者の優秀さとあきらめずに挑戦し続ける姿に頭が下がる。

「目的達成まで諦めない」という愚直さと、「状況に応じて判断する」という機転の2つがあって成果を得たとのことであり、これらは同社のDNAともなっているらしい。

それと共に、「モノができて儲かるとか儲からないとか、計算しないことにしているんです。我が社の技術者たちは、自分の力でできることを精一杯やろうという前向きな気持ちを、みんなそれぞれ持っていますから」、「何かやっていて失敗したけれど、別の開発で役立ったということが、これまでたくさんありました。そういう経験を繰り返しているので『やれば必ず何かしら得るものはある』と知っています。ですから、全然、心配していません」という言葉に表れる、経営者の器の大きさ、キャパシティにも感心させられる。

日本のここかしこで、このようなイノベーションへの挑戦が続いていることを考えると、元気が出てくるものである。

ソニーが、ケーブル不要で機器同士を近づけるだけで高速にデータを転送できる、近接無線転送技術(トランスファージェット)を開発し初めて採用したデジタルカメラや対応機器を発売したが、従来のブルートゥースや無線LANでは、5~10メートル程度離れたところでも通信できるため自分が知らないところで通信電波をキャッチされたり不正アクセスされたりするリスクがあるのに対し、トランスファージェットの通信可能距離は数センチと非常に短かく、通信を傍受される危険も考えずにすむため、事前の設定も不要になり、かざすだけという簡単な方法でデータをやり取りできるようになる使い勝手のよさが出てくる。

このような技術もアプリケーションの展開で面白いことになりそうである。

こういったある意味で地道な技術開発、イノベーションを皆が取り組んでいる姿は頼もしく思える。

一方、日本全体が少子化を始めとした長期的マクロの国家環境で、意識が縮小に向かっているのはどうしたらよいのだろう。

夏野剛さんは、国家の成長戦略として、GDP(国内総生産)成長戦略で行くのか、GNP(国民総生産)戦略で行くのか考えるべきと提示している。

GNPでは、日本の居住者が生産した財・サービスの付加価値の総額となり、GDPに海外からの投資収益や報酬などが加わることになる。

普通の国であれば多くの場合、その国の雇用に直接的に影響を与えるのはGDPベースの成長であり、成長政策はGDPをベースにするケースが多いが、日本では、労働力という生産の面だけでなく、購買力という消費の面でも直接的に影響する人口が減っていくハンディがある。

GDPの成長戦略を採るには、1人あたりの生産量を増やすしかないわけで、日本は政府部門の効率性が低いため徹底的なIT投資が必要であり、また、ホワイトカラーの生産性も低いので、中高年の効率性を上げるための施策を徹底的に打つことも必要ということになる。

しかし、これではとても間に合わないので、結局外国人労働者の大量受け入れをやらざるを得ない。

一方、GNPを拡大するには、知財や人材、そして資本を輸出し、付加価値をつくっていかなければならず、これはとりもなおさずグローバル国家を目指していくことであり、世界を舞台とした企業の本拠地になり、世界で活躍できる人材を多く輩出する国家となり、世界中にリスクマネーを提供しながらきちんと回収し、GDPが縮小してもそれ以上の成長を世界を舞台にして成し遂げていこうとするものである。

夏野さんの論理によれば、結局同じような対処が必要となるらしいが、国家戦略は政府の専売特許などと考えずに、国民自身が思いをめぐらし覚悟をしていかないと、本当に立ち行かなくなるのではないだろうか。