
先端研究助成基金として2700億円を計上したことで注目を集めた「最先端研究開発支援プログラム」には、関連技術として、有機EL,スピントロニクスによる省エネデバイス(電気を伝える性質「電荷」と磁石になる性質の「電子スピン」の2つの性質を利用した新機能の素材素子)、SiC(炭化ケイソ)パワーデバイス、有機系太陽電池、鉄系超伝導材料、ポスト・リチウム電池、グリーン・ナノエレクトロニクスによる省エネデバイスなどが名前を連ねている。
(独)製品評価技術基盤機構理事長の安井至さんが、環境エネルギー技術(特に低炭素技術)は、他の技術と比較すると、実社会に大量に普及しなければならないという非常にやっかいな特性を持っていると紹介している。
環境エネルギー技術でイノベーションを実現しようとすると、コストが高すぎないこと。地球上にふんだんにある元素のみで実現すること、量産が可能であること、特殊な材料を使った技術ではないこと、取り扱うエネルギーの量が大きいこと、再生可能エネルギーの場合低いエネルギー密度に対応できる程度に大型であることなど、色々と制限があるようである。
面白い試算を示しているが、太陽電池を世界に10億セット普及させるとしたら、1枚のユニットが20kg程度で1セット20枚の太陽電池ユニット構成なら、総重量は4億トンになってしまう。
例えば、目安として、素材として現在もっとも大量に生産されているものはセメントで25億トン/年程度、次が鉄鋼で13億トン/年程度、プラスチックは2.5億トン/年に過ぎないというから、一寸驚く。
したがって、バルク型であればシリコン以外にはあり得ないし、薄膜型にして資源量を最大限節約する必要があるということになる。
将来、世界中の太陽電池設置量の予測として、現在の設置量の5000倍、発電能力で250EJ(エクサジュール)程度、と言われてもぴんとこないが、スペインの国土程度の設置面積が必要になるという勘定になるらしい。
安井さんが、環境エネルギー技術のイノベーションには、常に、地球レベルの規模で物事を考える必要があり、人工的な手段で地球を冷却させる技術、ジオ・エンジニアリング(Geo Engineering)的な検討も行われる必要があると説いておられるのは、よく理解できる。