
企業が魅力を感じている投資先として、1位は中国、2位が米国、3位がインドで、さらに、ブラジル、ロシアとBRICsが続き、日本は、ベトナム、メキシコ、ポーランドの後で16位になっている。
又、先日発表された平成21年版情報通信白書では、1人あたりのGDPは、ルクセンブルク、ノルウェー、アイスランド、アイルランド、スイスなど欧州各国が上位を占め、11位に米国、20位に日本となっている。
発表元の総務省の立場から、情報通信が経済成長に与える影響・寄与として、大きく4つの要因を取り上げ、〇駛椶簣働といった「生産要素」の収入増、◆崟源裟」の上昇(イノベーション、業務改善等)、6軌蕕簔亮韻箸い辰拭嵜妖資本」(ヒューマンキャピタル)の蓄積、っ楼莠匆颪侶襪咾弔、ガバナンスといった「社会関係資本」(ソーシャルキャピタル)の蓄積 を個々に論じている。
特に日本では、イノベーションを中心とした知的生産活動が成長のエンジンとなる形で、今日の知識経済のメカニズムを表わしていると言えるだろう。
ただし、10年余り前、「ニューエコノミー」という言葉が流行り、オールドエコノミーが収穫逓減の法則に基づいていたのに対して、ニューエコノミーは、収穫逓増の法則に基づいているので、無制約的な成長が可能ということになるとバブルを煽った経緯がある。
永井俊哉 (ウェブ上の研究者) さんが説くように、一般に、投入生産要素を増やしていき、収穫の増大を期待する収穫逓増は永遠には続かず、逓減していく。
まず、生産に必要な資源が有限である。
地球が有限なので、生産量が増えるにつれて、原料の希少性=コストが増加し、利益を圧迫する。
また資源が有限であるということは、人口にも限界がある、つまり需要は無限には大きくならない。
さらに、規模に対する収穫逓減をもたらすもっと重要な原因として、中間管理職の肥大化がある。
生産要素の一つである労働の投入量を増やすと、最初は分業により能率が向上するので、利益を増大させるが、その効果は次第に減少し、逆に労働者を監視する管理職のコストが増大するので、規模に対して収穫逓減となる。
一方、知識集約型のネットワーク型経済が発達するにつれて、新しいタイプの規模の経済が生まれた。
デファクトスタンダードのネットワーク外部性がもたらす一人勝ちの経済(the Winner-Take-All Economy)で、デジタルコンテンツのオンライン販売は、複製や流通にほとんどコストがかからないので、売り上げの増加は収益を圧迫しないと一般に思われている。
ここから、ドットコム企業は成長すればするほど収益を増加させるというニューエコノミーの神話が生まれたとされている。
実際には、売り上げに比例する形で宣伝やサポート対応や不正コピーをめぐる訴訟などの費用が増加する。
ソフト産業は、ハード産業ほど物質的資源を使わないが、それも程度の差でしかない。
さらに需要自体に限界があるから、最初急成長した新しい産業も、やがては成熟期を迎え、収穫逓減となる訳である。
ところで、上にも上げた重要な要素である人口に関しては、最近少し改善の兆しもあるようだが、少子高齢化に伴う人口の定常的減少の問題がある。
新井淳一(日本経済研究センター会長)さんがコラムで述べているように、国民性から大胆な移民政策は不可能と思われることから、日本の人口は、中位推計で30年(1億1522万)、50年(9515万)、80年(6338万)、2100年(4771万)と減っていく見通しで、夏目漱石が英国に留学した1900年の日本の人口は約4400万人だったから、200年かけてほぼ元へ戻ることになる。
人口大国としてこれまでの日本は、製造業から農業、サービス業などあらゆる分野を兼ね備え、国際比較で劣位の部門さえ懐に抱く余裕もあった、言わばデパート型国家であった。
人口中位の国というと、英国(6100万)、フランス(6200万)、イタリア(5900万)、スペイン(4500万)、韓国(4800万)などが該当する。
これらの国に共通するのは、産業が得意の分野に特化していることで、決して総花的ではなく、英国は金融、フランスとイタリアは航空、自動車など一部の先端産業とデザインや観光、韓国は電子・電気などの輸出産業であり、逆に不得意部門はどの国もけっこう他国に譲っている専門店型スタイルをとっている。
長い目で見ると、「環境」(地球温暖化への対応)といった世界に誇る得意分野を作る一方、不得意分野をアジアの国々との共存で補うといったアプローチは、非常に戦略的と思える。