
実際、昨年の新規株式公開が大幅に減少し、ベンチャーキャピタル(VC)は投資を縮小する傾向にある。
しかしながら、最近Web上に紹介された、米有力VCのDCM(旧ドール・キャピタル・マネジメント)の共同創業者兼ゼネラルパートナーの茶尾克仁(ちゃお・かつじん)氏の話では、あえて日本で投資を強化するという。
過去の経験から、相場や景気が低迷しているときに、力があるベンチャー企業が生まれているからであり、今はベンチャーに投資する「仕込み時」としては最高だという認識である。
未上場企業に出資する際は上場企業の株価を参考にするため、このような不況期こそ、少ない金額で多くの株を取得できる面がある。
株式公開やM&Aで株式を売却するときに相場が好転していれば、より多くのキャピタルゲイン(売却益)を獲得できることになる。
不況のほうが優秀な人材を低コストで獲得しやすく、ベンチャーでも能力の高い経営チームを構成するチャンスが生まれるというメリットもある。
もう一つ面白いのは、日本の大手VCを、ショットガンに例え、年間何十社にも投資して、数多くの上場を狙うスタイルと異なり、シリコンバレーでは一般的なやり方として、年2、3社、それも設立間もない企業にしか投資をしない「ライフル式」と称している点である。
少ない投資先に十分な資金を投下する代わり、積極的に経営に関与していくわけである。
また、日本、米国、中国の3拠点を中心にした世界全体での投資回収を狙っており、この3つの地域を分けて考えることはできないとする戦略も面白い。
参考までに、この3拠点に共通な注目テーマとして挙げていたのは、「次世代のインターネットプラットフォーム」、「モバイル」、「クリーンテック、中でも省エネ」及び「新興国での、保険や住宅、自動車といった中間層向けサービス」といった所である。
「日本はグローバル展開をするうえで、技術、市場、人材とも魅力的であり、リスクをとりづらい環境だとは思うが、日本の起業家にはアグレッシブにチャレンジしてほしいと思う」と、エールを送ってくれているは有難いことと思う。