
エーザイ(株)の内藤社長が基調講演を行っていたが、広く技術系事業の立ち上げ時にも役立ちそうな内容が含まれていたのでそれを紹介したい。
開発リーダーの人物の要件として、第1点は、不倶戴天の敵と二世を契る味方を持つキャラクタを持つことである。
これは、中国、日本、欧米を問わず、歴史上の人物にも当てはまるものだと思う。
兎に角、八方美人的な人物では全くダメということになる。
第2点は、情報のプライマリソースにアクセスしているということで、要するにオリジナルな意見、情報を持つ人たちと直接人脈を持つこと。
人からの又聞きやメディアからの報告情報などでは、本当のところも判らないし、特に話の中から有益なヒントを掴むことも出来ない。
第3点は、眼前の一戦に全力を尽くすこと。
歴史上、有名なボロジノでの戦闘という話に、ナポレオン軍がロシアに侵入、ボロジノで両軍25万人という激戦を行った際、将軍たちの再三の増援要請にナポレオンは応えず精鋭の近衛師団2万人を温存し、結局敗れてしまった。
ナポレオン自身の反省の言葉として、「戦闘の翌日に備えて新鮮な部隊を取っておく将軍はほとんど常に敗れる」が残っている。
第4点は、自分の力の限界を知っているということ。
これを言い換えると、一流と超一流には無限ともいうべき差がある。
超一流の人物は、能力に限界があることを知っていて、それに恐れをなし、それへの対応を考えており、その上でのリスクを取る勇気を持っている。
一方、一流に留まっている人物は、自分ですべてが出来ると思っていて、リスクを取らない。
第5点は、ルーチンの仕事をいとわないこと。
これが、所謂Serendipity(路傍の宝石を見出す幸運)を呼ぶことに通じる。
以上の5点は、業の大小を問わず、イノベーションで事業を起こそうとする際に通じているもの思う。