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情報通信研究機構(NICT)が,NGNの次のネットワーク・アーキテクチャを議論する「JGN2+AKARIシンポジウム2008」という集まりを先日開催した。

増田総務相のあいさつの後、NICT理事長(前大阪大学総長)の宮原秀夫氏が基調講演があった。

ところで、IPネットワークの発展系であるNGNはインターネットに加えて、固定電話サービス、映像配信サービス、のトリプルプレイサービス、さらに携帯電話を加えたクワドロプルプレイサービスをIPネットワークで提供するものであり、2010年ごろから商用サービス(NXGN)が開始されると見込まれている。

一方、新世代ネットワーク(NWGN)は、NGNの先に到来するユビキタス情報社会のインフラを担うネットワークであり、2015~2020年の社会要請を満たすとともに、超大容量のコンテンツから、膨大な数量のセンサや電子タグから発する極小容量のデータを疎通させるスケールフリーなネットワークである。
セキュリティやプライバシイの要求条件を満たすとともに、ユーザの要求条件に即応してカスタマイズされたネットワークを提供できるユーザオリエンテッドなネットワークとされている。

NWGNは,NICT中心の「AKARI」というプロジェクトが「概念設計」を終え,現在、新世代ネットワーク推進フォーラムの下で「詳細設計」を進めている段階になっている。

宮原理事長は, NWGNの方向性の一つとして,スケーラビリティや自律性といったNWGNの要件は,大腸菌などの微生物が構成するネットワークが既に備えている。
NWGNのアーキテクチャは幅広い知見から考えていかなければならないと,大阪大学時代の“生物指向”のネットワーク研究を紹介しながら、締めくくっていた。

一方、NICT理事の稲田修一氏は、インターネットのアーキテクチャは、増設され続けてきた旅館のようなイメージで、これまで実にさまざまな機能が積み重ねられてきたが、その結果、機能の重複や機能同士の互換性の問題が発生しており、これ以上新しい機能を積み上げると、さらにネットワークが複雑に、そして管理しにくくなってしまうと以前話していた。

さらに、セキュリティ問題も深刻で、日本におけるスパムメールの被害額は、2005年で約50億ドルと推計されており(米Ferris Research調べ)、また日本ネットワークセキュリティ協会によると、個人情報漏えい被害者数は2006年で約2200万人、想定される損害賠償額の総計は4570億円に達しているという。

将来のネットワークについては、総務省、NICTなどを中心に検討されていくのだろうが、是非、世界と整合のとれたグローバルな内容にしてもらいたいものと思う。