
ICT分科会では、「情報化とグローバリゼーション」のテーマでパネルディスカッションがあり、その中で、Yahoo!Inc.のウサマ・ファヤド最高データ責任者兼上級副社長が、座長から、どうしたらYahooのように小さな会社が大きくなれるのかと質問されたのに対し、どんな大会社も当初はStart smallで始めているとしながら次の点をあげていた。
ひとつは、色々手を出さず、とにかく自らの強みとしている点にFocusし、それを続けること。あのトヨタでもカイゼンを何十年も続けているではないか。
もう一つは、TechnicalとMarketing、言い換えるとInsideとOutsideの対応を分けること。
一人で両方をこなすのは無理なので、画期的技術をベースに始めるなら、マーケティングに優れ外部の対応を担うパートナーを見つけ、相携えて事業を行っていくこと。
特に後者は、私も強く感じている点で、ホンダにしても、ソニーにしても、必ず技術に強い人間と商売というかマーケティング、営業に秀でた人材がペアとなって成功している。基本的には、両者は対等だが、よき補佐役のケースも多い。
ところで、インターネットを活用した戦略立案や事業設計を中心にコンサルティングを提供している黒坂 達也氏のブログ“技術的ベンチャー論”にも、次のような話が出ている。
P2Pの分野を例にして、技術で勝負するベンチャー全般に求められるものとして、成熟したユーザ環境・市場環境を有する日本では、新たな技術を持ち込んでサービス化するまでに、ビジネスをはじめとする「技術以外の開発」が必要で、少なくとも、その技術がどれだけ優れていても、技術だけではどうにもならない。
逆にいえばそんな敷居の高さが、日本で技術ベンチャーの成立を困難にしている一因なのかもしれず、いわゆるネット系ベンチャーの中には、技術力ではなく営業や資本調達の能力で事業運営している企業が少なくないし、優秀な技術者が海外に活路を求めるのも、こうした面が影響しているのだろうと言う。
技術系ベンチャーの難しい点は、こんな所にあるようだが、先のYahoo上級副社長の話は、参考になると思うがどうだろうか。