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「信長の棺」「秀吉の枷」さらに最新作の「明智左馬助の恋」のベストセラーで有名な作家、加藤廣さんの「ビジネス戦国時代が求めるリーダーとは」という講演の中に特に興味あるポイントがあったので紹介したい。

21世紀の最大の問題は、核開発、人口爆発、化石燃料から起こる地球環境などの問題の奥にある、「人間の存在そのものを追いやってしまうような技術の台頭」と位置づけている。
未来学のロンドン大デニス・ゲイバーという教授が、「未来を発明する」という本の中でこれからの社会はごく少数の有能な人間だけが働きさえすれば、十分に社会を維持できる時代が来るといっている。
こうなると、知能指数110%以下の75%の人は仕事に付けず、そういう人たちが多くなると、余暇が増えたり、ドラッグが流行ったり、犯罪が増えていくことになり、この辺の恐怖が気づかないうちにひたひたと忍び寄ってくる。

こうした中で、これから成長する産業といえば「ひま」産業、要するに時間を殺してくれる産業ということで、テレビ、ゲームソフト、さらに海底を深く潜るとか宇宙へ行くといった「夢」を追う産業になる。

ところで、時代というものは変っていくもので、必ず英雄は誉められすぎたり、またけなされすぎるものだという。
戦国時代を終わらせた織田信長と、秀吉の時代を終わらせた家康が取り上げられるが、まず、信長のリーダーとしての酷さは、母親にも父親にも愛されなかった男で、これが彼の致命的な人格の欠陥をつくった。
信長の悪いところは、要らない者は全部、切り捨ててしまえという考えが濃厚で、ロートルの家老を切り捨て、羽柴秀吉と明智光秀だけを重用する。

秀吉のほうは、終生母親に愛され、ある意味では心底女性に優しい。また、信長の悪いところを反面教師として成功し、人使いという点では大変上手だった。不要になった人間をプールしておいて、遊ぶ場をちゃんとつくっている。

21世紀になると、家康の時代と似てくる。家康は非常にうまく人を使って、権力のある者は安い月給で働かせ、権力の無い者には給料を高く払ってもかまわない。
ただし、客観的にグローバルな観点からみると、成長拡大という世界の時代の潮流に逆流し鎖国をして小さくまとまった。

結局、21世紀の経営者は、ともすれば排斥されてしまう75%の人たちを如何に生かすか、老子のいう「無用の用」を知り、「優しさ」をもった人がリーダーたるべきとなるのか。