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世界経済に関する非営利団体の世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)という所が,世界の情報通信技術(ICT)の利用状況に関する調査結果を発表している。

2006~2007年に情報通信技術を最も効果的に活用している国および地域のトップはデンマークで、そのほかの北欧諸国とシンガポールが上位を占め,米国は昨年の首位から7位に転落している。

1デンマーク
2スウェーデン
3シンガポール
4フィンランド
5スイス
6オランダ
7米国
8アイスランド
9英国
10ノルウェー

評価の仕方は、ICTの整備状況を,(1)ICTを取り巻く企業,規制,インフラ,(2)個人,企業,政府によるICTの受け入れ体制,(3)個人,企業,政府による最新のICTの活用状況について評価し,Networked Readiness Index(NRI)指標として算出している。

今回の調査で、日本のランクは14位で、それでも前年の16位からわずかに順位を上げているが、IT先進国を自認する国民意識とはかけ離れた評価といえる。
電子情報技術産業協会(JEITA)の最近の発表では、電子機器や電子部品・デバイスなどの電子工業部門の世界生産額は140兆円にのぼるが、日系企業は全体の27%の37兆9000億円を占めており、こういったIT関連産業の成熟ぶりや携帯電話等の普及具合の感覚から意外な感じがしてしまうのだろう。

一方、米国は、技術革新や、教育制度、産業支援、市場環境については、依然トップレベルの水準を維持しながらも、IT関連の政治環境や規制において評価を下げたのが、首位転落の主な要因となったとされている。

日本の学校生徒の教育能力が世界の中で非常に低迷していると報道された際も、そんな馬鹿な、何かの間違いと感じた人が多かったと思うが、素直に現実を見つめる必要がある。

ところで、ジャスダック証券取引所が、将来性のあるテクノロジーの開発やビジネスモデルを展開し、成長の可能性を有する企業を支援することを目的として、8月以降をめどに新たな市場を創設すると発表したのは、元気付けられる話である。

イノベーションや先端的テクノロジーや将来性のあるビジネスモデルによる成長を目指す上場企業群を、従来の堅実かつ安定的な成長を目指す上場企業群と同じ土俵で評価するのは元来無理があるし、次世代の我が国経済を担う可能性のある企業を支援しようとするならば、今まで無かったのがおかしいと思われる。

イノベーションで一番連想されるのは、Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏かもしれないが、世界中のどのCEOよりも価値があり、それは金額にすると最大200億ドル相当になることが、米国の投資家向け専門誌であるBarron's Magazine誌が毎年公表する有力CEOリストで明らかになったということである。Jobs氏がもしAppleを去ることになれば(自主的でも、そうでなくても)、Appleの株式市場価値が160億ドル下落するだろうという。ちなみに、Appleの時価総額は、米国時間3月26日の取引時間中で820億ドルとなっている。

レコード会社EMI幹部がフロリダ州オーランドで開催中の北米最大級の通信関連展示会「CTIA Wireless 2007」トレードショーで行った基調講演において、携帯電話事業者や携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーが連携し、顧客第一主義をとらない限り、モバイル音楽市場が予測されている通りの売り上げを達成することはできないだろうと警告し、牽引役として6月にAT&Tのネットワークでお目見えするAppleの音楽再生機能付き携帯電話「iPhone」を具体例として取り上げている。

“イノベーション“や”イノベーティブ“という言葉が、単なる政治の世界の流行でなく、次世代の日本の根底をなすという意識をもっと真面目にとらえ具体化していかないと、ズルズルだめになってしまうという恐れを感じる。