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ユーザー生成コンテンツを対象としたアカデミー賞と言えるビデオコンテスト「YouTube Awards 2006」を開催するなど、何かと話題の多いユーチューブ(YouTube)だが、特に著作権の問題は重要と思う。

その前に、YouTubeのおさらいをしておくと、PayPal 元従業員のチャド・ハーレイ(CEO)、スティーブ・チェン、ジョード・カリムらが2005年2月にアメリカのカリフォルニア州・サンマテオで設立、従業員数は67人(2006年10月現在)。
当初から著作権問題はあるものの手軽に動画が楽しめることから、コンテンツ業界に注目されていた。
また、所謂通信と放送の融合の中心にあり、2006年6月にはNBCと提携、CBSも同年10月に契約したが、2007年になって提携は決裂した模様、3月にはBBCと提携し、「BBC Channel」を立ち上げることとなっている。
さらにレコード会社などが自前のページを立ち上げて配信を始める例も見られ、新たな活用法が模索され続けているが、現在のところ、日本のテレビ局はYouTubeとの提携に慎重な姿勢を持っている状況である。

昨年10月、噂どおり、Googleに16億5000万ドルで買収されたが、「YouTubeはGoogleに買収されたが、今後もYouTubeとしたブランドで独立したサービスを提供し続ける」とされている。

最もホットな話題は、Viacomが3月13日、損害賠償を求めてYouTubeと親会社のGoogleを提訴し、「大規模かつ意図的な著作権侵害」を行っていると主張、10億ドル以上の損害賠償の支払いを求めていることだろう。
Viacomの娯楽番組から取得したおよそ16万件の不正な映像がYouTubeで配信されており、これらの映像が15億回以上も視聴されているという。
Viacomは、Paramount Pictures、DreamWorks、さらに多数のケーブルチャンネルを保有するエンターテイメント業界最大手であり、「YouTubeは、対価を支払うことも、ライセンスを受けることもなく、価値を有する創作物を自社の利益のために大量に盗用している。知的財産法を厚かましく無視するYouTubeの行為は、原告だけでなく、米国経済有数の市場の経済基盤にとっても根本的な脅威である」と主張している。

なお、国内では、日本映画製作者連盟など日本の著作権関連23団体・事業者が、最近、日本のテレビ番組などが大量に違法投稿されている問題について、来日したチャド・ハーレイCEOら同社役員及び親会社Googleのデビッド・ユン副社長らと協議を行っている。
同社は著作権侵害行為の違法性を警告する日本語文の掲示を早期に実施することを約束したが、日本側が求めていた投稿者の住所・氏名の掌握については困難として事実上拒否している模様である。

なお、YouTubeを買収したGoogleは、同映像サイトがいつかは長期的な法廷闘争に巻き込まれる可能性があることを認識しており、同社が法定費用に充てる資金を蓄えているという報道もある。

ただし、Googleは、Warner Music Group、CBS、そして最近のBBCなど、多くのエンターテイメント企業とは順調にライセンス契約を結んでいるので、今後どう展開していくか、興味深く見守っていきたい。