
CESには、ソニー,松下,日立,東芝,シャープ,三洋,韓国Samsung Electronics,韓国LG Electronics,オランダPhilipsといった世界の家電メーカーに加えて,米Microsoft,米Intel,米Advanced Micro Devices,米Hewlett-Packard,米Dell,米Motorola,フィンランドNokiaといったIT業界の大手企業も出展し、以前の家電ショーから大きく拡大変貌している。以前、ラスベガスComdexで定番だったMicrosoft Bill Gates会長の前夜祭の基調講演もCESの場に移っており、しかも現役引退予定のゲイツ会長としては今回が最後の講演と考えられている。
ところで、全面タッチパネルのスマートフォン「iPhone」や「Apple TV」を発表した米Appleは,CESに出展したどのメーカーよりも「家電メーカー」として面白かったと報告されている。テレビ嫌いで有名だったSteve Jobs CEOからは予想しにくかった状況といえる。
もちろん、499ドルからという高額な「iPhone」が,携帯電話の主流になるとは思えないし、実際にSteve Jobs CEOも,「2008年に,携帯電話市場のシェアで1%を目指す」と言っているのだが、そうは言っても、年間販売台数9億5700万台の市場の1%ということは約1000万台であり、これはこれで大変な数字である。
また、Appleは社名を従来のApple ComputerからAppleに変更したが、パソコン・メーカーから,名実ともに総合デジタル家電メーカーに生まれ変わったとみられている。
Steve Jobs CEOは、「Macworld San Francisco」の基調講演で「電話を再発明する---」と宣言しており、「ソフトウエアだけで製品の特徴を作り出す」という,他社とは異質な家電メーカーのポジションを取り始めているようだ。
ただし、米MicrosoftのBill Gates会長もソフトウエアが家電の優劣を決めると過去に主張しており、この流れは今後ますます強くなっていくのではないか。
「情報家電」や「デジタル家電」などまだまだ先の話と思っているうちに、目に見えず、また、表にハッキリ見えない形でどんどん実現されていくような気がする。“Ipod”“iTunes”という製品、ビジネスコンセプトをソニーで実現できず、Appleが言わば新しいビジネスモデルの形で、音楽業界などと著作権の難しい問題をクリアして実現したのを見ると、日本の家電メーカーは、単なる量産、低価格品という土俵から本格的にシフトしていかないと、韓国Samsung Electronicsなどにやられるばかりになると心配である。