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今年もあとわずかになり、この1年を振り返る記事や番組が多くなっているが、来る2007年及びその先を予測するものもあるので一部紹介したい。

最新刊の野村総合研究所(NRI)「ITロードマップ2007年版」では、昨年の「2010年のITロードマップ」の続編として、2010年情報システムの方向となる「数の増大」「実世界モデルの実現」「知を持ったITの出現」の萌芽となる事例を紹介している。
また、別途、2011年までの国内IT主要5市場の分析と規模予測を行い、ハード市場7分野、放送市場3分野、ネットビジネス市場8分野、携帯電話市場4分野、ブロードバンド市場6分野の市場規模予測結果を発表している。
薄型テレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオレコーダの「新3種の神器」および携帯電話は2011年まで台数ベースでの成長が維持されるとしている
また、インターネットを活用したさまざまなビジネスが生活の中に着実に浸透してきていることを背景に、ネットビジネス市場は成長が見込まれている。成長の主軸は、PCから携帯電話に移ってきており、なかでも消費者向けインターネット通販(BtoC EC)、音楽配信、インターネット広告などは、携帯電話向けサービスの成長が著しいとみている。
さらに、ブログ・SNS市場は2011年度末にブログサイト数1813万サイト、SNS登録者数5110万登録となり、金額ベースの市場規模は合計で1706 億円に達する見込みとみる。これにともない、ブログ・SNSからECサイトへの誘導が促進され、BtoC ECの市場規模が2011年時点で6兆円を超えると予測している。
 
また、株式会社シンクの代表取締役でマイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治氏が、ブログ上”Web 2.0という時代の先にあるもの”というテーマの中で、Web 2.0という言葉は、不連続的なイノベーションやパラダイム転換を示すのではなく、ウェブの連続的な変化=進化の到達点を一括りにして表現したものでしかなく、技術面での進化よりも、それを使う人々の成熟を示す言葉であるのかもしれない(Web 2.0を構成するサービスの多くは画期的な新テクノロジーで構成されているというより、1.0の頃に開発された枯れた技術を使い込むことで得られた洞察に基づくものが多いという印象)と論じている。
さらに、2011年の「デジタル元年」という区切りまでは依然として放送と通信の融合の行き着くところは見えないままだが、例えば、携帯電話が過剰な機能やデザインを主張するよりも本来あるべき携帯性を取り戻しつつあることや、任天堂の新型ゲームコンソール「Wii」のように「身体」との協働性に訴求する商品に注目が集まるように、「あちら側」ではなく、究めて身近な「世界」への揺り戻しがあるのではないかとみている。
身体性の延長では、まずは携帯電話が「公式サイト」との関係性という呪縛から抜け出すことで、あちら側(ネット)とこちら側(リアル)の架け橋としての存在感が加速度をつけて増してくるだろう。これまでネットはPCをインターフェースとしてきたが、携帯電話が物理的な自由度を伴ったインターフェースとして機能しはじめることは、すでに予定調和的な現実であるし、一方、PCを介してネットはリビングなどの家庭内ネットワーク環境(と、その周辺端末)に浸透していくはずという。そして、それほど遠くない未来で、街中などに設置された公的なセンサ網との連動すら起こってくると想定され、また、単にリアルタイムでのリンクだけではなく、蓄積された膨大なデータを処理することで得られたメタデータによって、これまでにはない価値の創出がなされるに違いないと期待している。

さらに、Computerworldによると、2007年にはオープンソース・ソフトウェア・ビジネスの変化がさらに急速に進みそうで、オープンソース開発者が、OSやデータベースといった基盤的ソフトウェアにとどまらず、さまざまなアプリケーションの提供に活発に取り組んでいるからだとしている。
また、ネットワーク分野では、2006年の主要テーマであった無線技術やサービス関連の傾向は続くらしく、標準化に先行して製品化が進む高速Wi‐Fi規格(Wi‐Fi Alliance、802.11nなど)、自治体が運営する無線ネットワーク(カリフォルニア州リバーサイドやサンフランシスコ)、特許紛争が頻発する無線業界、モバイルWiMAXを大手キャリアが採用、活発化する買収・合併の動きなどが想定されている。

 5年後というと現在の延長レベルとも見られる一方、ドッグイヤーの尺度からはかなり将来でもあるわけで、新年2007年を迎え、よく見極めつつ、先取りしたビジネスのチャンスを見逃さないようにしたいものと思う。