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経営の何かについて迷ったりはっきりさせたいと感じたとき、ドラッカーの書いたものを読み返すのは実に効果的だと思う。
起業家の進むべき道についても次のような一節を残してくれている。

将来いかなる製品やプロセスが必要になるかを予測しても意味はない。しかし、製品やプロセスについていかなるビジョンを実現するかを決意し、そのようなビジョンの上に、今日とは違う事業を築くことは可能である。未来において何かを起こすということは、新しい事業を作り出すことである。すなわち、新しい経済、新しい技術、新しい社会についてのビジョンを事業として実現するということである。大きなビジョンである必要はない。しかし、今日の常識とは違うものでなければならない。

今日のイノベーションの議論において、意味なく強調されている創造性なるものは、問題の鍵ではない。すでにアイデアは、企業だけでなく、あらゆる組織体に、利用しうる以上に存在している。欠落しているのは、製品を超えて構想することである。製品やプロセスは、ビジョンを実現するための道具に過ぎない。しかも具体的な製品やプロセスは、想像されることさえないのが普通である。

そして最後に、全人格的な献身が必要とされる。「そのビジョンを心から信じているか。本当に実現したいか」「本当にその仕事をしたいか。本当にその事業を経営したいか」である。未来に何かを起こすには、勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身を任せていたのでは、未来は作れない。目の目の仕事では足りない。いかなるビジョンも、万事が順調というわけにはいかない。むしろ、そうであってはならない。未来に関わる構想のうち、必ず失敗するものは、確実なもの、リスクのないもの、失敗しようのないものである。

何度読んでも、丁寧に説き起こしてくれている中に、非常に厳しいものを感じさせてくれる。