
カエサルは終身独裁官に就任することで改革を行おうとした。
ともすれば、改革とは古い殻を脱ぎ捨てて新しい制度を起こすことだと思われがちである。
しかし、真の改革とは結局のところ、リストラクチャリング、つまり、再構築をすることであり、カエサルが行おうとしたのもそれに他ならなかった。
どんな民族であろうと、どんな組織であろうと自分たちの体質にまったくないものを外部から持ってきて移植してもうまくいく筈がない。
たとえ、一時は劇的な成功を収めたとしても土壌に合わない改革では定着はまずもって難しい。
したがって、改革とはまず自分たちが持っている資質や特質のどれを生かし、どれを捨てて組み合わせていくかという再構築の形をとるしかないというわけである。
カエサルが行おうとした「新生ローマ」への改革もまさしくそれだったということになる。
カエサルは「ローマの伝統」と思われていた共和政体制はもはや時代に合わないとして切り捨てる覚悟をし、一方、ローマ人が王政時代から連綿と持ち続けてきた「敗者をも同化する」という精神は捨てず、逆に最大限にする努力を行った。
これがカエサルの行った「リストラ」の本質だった。
このような観点で改革というプロセスを見直してみると、案外ハッキリとしてきて、力を注ぐべきターゲットも決めることができ、成果も出やすくなるのではないかと思う。