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最近、米国の大手映画会社7社のうち6社がインターネット上で映画のデジタルダウンロードサービスの提供を開始すると発表した。ワーナーブラザース、ユニバーサル、ソニーピクチャーズ、パラマウント、20世紀Fox,MGM(ここはソニー系)が出資しているオンデマンドビデオ配信サービスのMovielinkと独立系スタジオのLionsGateとソニーが出資するCinemaNowの2つのサイトが新作映画のDVDリリースと同時にダウンロード販売を始めるもの。一方、Walt Disneyは先頃、テレビ番組を無償でダウンロードできるようにするという大胆な計画を発表しており、こちらはケーブル会社や衛星放送プロバイダーにとって厄介な問題を突きつけ、また、巨額の資金を投じて有料テレビ事業に乗り出そうとしている電話会社の戦略にも影響を与えようとしている。

Movielinkからダウンロードした映画はDVDに落とせるが、DVDの再生はPCでしか出来ない。DVDプレイヤーで再生しようとしても技術的に阻止されるガードが入っている模様。また、ダウンロードした映画は2台のPCにまで転送可能だが、携帯型ビデオプレイヤーへの転送はできないとされている。2002年後半からメジャースタジオが保有する過去作品を24時間レンタルという形態でオンライン配信してきている。料金は2.99ドルからで、ほぼ500Mバイトのファイルをダウンロードし、1回の購入で24時間は視聴可能。30日間はハードディスクの中に残って、再度見たい場合は追加料金を払うという仕組みだったが、今回は、新作で20~30ドル、旧作は10~20ドルで販売される。なお、CinemaNowの方は、DVDへの記録や他のPCへの転送は全て禁止されているらしい。

これら動きの背景には、DVD販売価格がどんどん低下し、これまで余りインターネット上ダウンロードに積極的でなかったハリウッドも動き出したという状況だろう。加えて、Apple CompurerのiTunes Music Storeによるダウンロード型楽曲販売、GoogleのVideo Storeでのテレビ番組ライブラリ作品の販売など、映画以外のダウンロード販売が急速に拡大している。
すでにIntelが発表したViivテクノロジーがさまざまなDRM(著作権管理技術)に対応し、Microsoftの次期OSであるWindows Vistaが家庭内ネットワーク制御にも視野を広げている。したがって、PC向けに作品配信しても、大画面テレビでの視聴環境が整うのは時間の問題と見られている。
こういった動向から大きく影響を受けそうなのがBlu-ray Disk、HD DVDなどの次世代光ディスクを中心とした高品質映像視聴を実現する日本の家電製品で、単にハリウッドビジネスモデルの変化というだけではなく、日本の産業にとっては大きな影響を及ぼす可能性が高いと懸念される。