
「友と交わるには須(すべか)らく三分の侠気を帯ぶべし」
という一節がある。
友とは、少なくともこちらが調子のいい時だけ近寄ってくるような相手ではなく、逆にこちらが困った時に親身になって相談に乗ってくれる相手だろう。
この言葉は「菜根譚」という古典に出てくる言葉らしいが、「侠気」というのは困っていたら助けてやるぞという、言わば男気のことである。
与謝野鉄幹は「六分の侠気、四分の熱」と歌ったらしいが、この「三分」というのが微妙かつ重要なところで、意気ばかり先行し「六分」も持つと共倒れになってしまうことを恐れたものと思われる。
友からベンチャ創業に声をかけられたり、或いは、自ら起業し、これはと信じる友や仲間に呼びかける機会が出てきた際に、お互いのためにも、この言葉は噛みしめるほど味の出てくるものに感じられる。