最近、仕事の関連で幾つかシンポジウムやフォーラムなど調査の為覗く機会があり、雑感を記しておきます。
先ず11/21の産総研主催「産業技術戦略シンポジウム」(http://www.aist.go.jp/aist_j/event/ev2005/ev20051121/old_ev20051121.html)では、「産総研第2期研究戦略(イノベーションハブと人材育成)」(http://www.aist.go.jp/aist_j/event/ev2005/ev20051121/03_yoshikai.pdf)や「NEDO技術開発機構の戦略と産業技術人材育成」(http://www.aist.go.jp/aist_j/event/ev2005/ev20051121/04_sasaki.pdf)などの他、日本経済団体連合会副会長・日立製作所社長 庄山悦彦氏から「産業界の戦略と期待する産業技術人材像」(http://www.aist.go.jp/aist_j/event/ev2005/ev20051121/05_shoyama.pdf)と題して産業界から大学側への注文を出していた。
例えば日本経団連アンケート調査結果から新卒を含む産業技術人材に関する現状の問題点として
∥膤悒譽戰襪隆霑坦慘呂良埖、  ∩和だ欠如、問題設定能力の不足、
積極性、問題意識の欠如、    ぅ灰潺絅縫院璽轡腑鵑良埖、
ザ垢だ賁舂琉茵◆        ´実体験不足、
Э兄?箸砲ける即戦力人材の不足、┘蝓璽澄璽轡奪廚里△覽蚕僖泪諭璽献瓮鵐反雄爐良埖
などを列挙し企業サイドの対応として
ー卞盒軌蕕僚室臓          ´OJTの充実
B╂鑪蓮淵疋ター・中途採用)の活用 で枌屬療正化
コ杏研修等の利用          Τ慇犬僚業意識向上
などに依存せざるを得ないと話していた。又、具体的に海外の学生と比べ、
・技術系新人社員の学力低下(外国人研修生と比べ質が低い日本人の若手社員アウトプットや数学、物理 など基礎学力で目立つレベル差)
・コミュニケーション力の不足(議論における存在感の無さ、自ら課題を設定しその解決方法を見出す訓 練の不足、更に異分野の研究者との議論など)
を問題として挙げていた。その他の指摘は省くが、以前製造業に身をおいていた者としての実感とかなり
相通じる点が多かった。
その後、東大小宮山総長から「大学における産業技術教育」の講演があり大学サイドからのやや弁明的な面もあったが、日本が課題先進国となっているための苦労と共に、大局的な観点からの「知の構造化」の概念の提示があり、これも中々的を得ていると感じた。
次に11/23の「慶大SFC Open Rsearch Forum 2005」では「インターネット・グローバリズム」のタイトルで村井純氏(慶応義塾常任理事・環境情報学部教授)と大前研一氏(経営コンサルタント・UCLA教授)の対談があり、この中で大前氏は最近の中国、インドの興隆に触れ、両者のかなり相反する性格について話していたのが印象的であった。
中国は、どちらかというと決められた線上でキチンと仕上げていくのが得意であり、世界の企業に入り込んでいる人材も経営層より実務層にあり、又一人っ子政策から15~35歳までの年齢層が細くなっていて将来性に問題を抱えている。一方、インドは優秀な頭脳を持ち、例えばMIT大学院への受け入れを平等にやるとインド人学生ばかりになってしまう程であるが、決められたことを仕上げるといったことには不向きで色々なことを考えてしまうらしい。しかし、いずれも間違いなく大国となっていく模様である。
最後に産学連携に関し、以前ベンチャ創業者からまとめてヒアリングした際、大学との連携はかなり個人的な教授、研究室などとの付き合いの方が深くうまく成果に結びついているというコメントがあった。一方、大企業の研究開発部門での大学との連携に関するヒアリングでは、昔のような中央研究所での先端研究投資の余裕が無く大学・研究所に期待したい一方で、不実施保証などに代表される問題からうまく機能していない状況が窺えた。国内をパスして海外の大学・研究機関との連携に重点を置いている気配も見え、先の日本経団連アンケート結果の裏付けになるかもしれない。
中国、インドの勢いに負けぬよう日本の研究開発と人材の育成がもっとスムーズに効率よくなって欲しいと期待するところである。