「渦が森団地の眠れない子たち」初日観劇
新国立劇場中劇場


1階7列センター下手寄りで観劇、段差が始まる列で見やすい
そして、新国立劇場の中劇場は座席がゆったりしていて良い


楽しみにしていた、蓬莱さんの書き下ろし作品❗
蓬莱さんの作品の世界観、好きだ~❤

子どもの世界の残酷なところ、息苦しく、逃げ場のない様子の描き方がさすが❗
蓬莱さんといえば「家族」を描いているイメージ…で、今作品も、家族の問題、親子の負の連鎖も描かれていた

キャストの皆さま、ほとんどの方が小学生(と中学生)役❗
藤原くん演じる小学生男子の、こんな子いるよね~の「あるある」感がすごい😁

木場さんが歌うシーンがあって嬉しすぎた😍素敵な歌声🎵


<ストーリー>
佐山鉄志(藤原竜也)と田口圭一郎(鈴木亮平)は、同じ団地に住む小学生。
圭一郎が低学年で団地に越してきて以来、鉄志とは親友である。
しかしある事件をきっかけに、二人は対立し、次第に団地の王座をかけて争うようになる―


舞台セットは、背が高くて幅も広い、壁のような、塀のような、岩のような…大きな壁的なものが何個か
それを団地に見立てたり、森に見立てたり
(閉塞した世界の象徴でもあるのか)
大きな転換はなく、時々テーブルセットが出てきたり、小道具を少し変更するくらい
シンプルな舞台セット


描かれるのは、団地に住む小学生の世界、出演者のほとんどが小学生(と、中学生)役
木場さんと奥貫さんだけが大人の役
大人の俳優さんだけで、子どもの世界を描く、て、映像作品なら成立しないけれど、舞台だとけっこう違和感ないから不思議

キャストの皆さま、全力で「子ども」になっている❗さすが❗

その中で、しっかりと、良くも悪くも「大人」を演じている、木場さんと奥貫さんの存在感がすごい



ネタバレになるので、ストーリーの詳細は避けるとして、
以下、思ったことなど持論中心に…


幕間のとき、ロビーで「子どもの話だから楽しい話だと思ってたー」という話し声が聞こえてきて、
いやいやいやいやいやいや😲
と、驚いた
私の場合は、蓬莱さんの作品、という前情報から「楽しい話」とは1ミリも予想していなかった
予想外すぎて、驚いた😅
今回の場合はまったく考えていなかったことだが、
仮に蓬莱さんの作品でなかったとしても、
私の場合、
子どもの世界=楽しい
という考えがまったくないので、
いずれにしても「ない」かな
私が聞いた話し声の主は、きっと楽しい子ども時代を過ごした人だったんだろうなぁ…と遠い目


私は、子ども時代に楽しい思い出は少なく、
年代が遡るほど楽しくない
小学校はほぼほぼ楽しくない
みんなで同じことを強要される空気がなんとも嫌
高校からの方が学校が楽しくて、大人になってからの方が圧倒的に人生が楽しい
大人になってからは、人生パラダイス✨と、言っても過言ではないのだ
(もちろん、長く生きると経験値が上がっているので「落ち込まない、へこまない」力が上がっていることはかなり大きい)

「大人は大変だ」て、聞くけれど、私に言わせれば、子どもの方が数倍大変だ
子どもは、責任はないけれど、子どもの世界にはなんとも逃げ場がない
年齢が下がるほど、コミュニティが小さくて、狭い視野、狭い価値観で生きていて、その閉塞感はかなり息苦しい
本来、子どもの発想は豊かだけど、子どもの世界には、それを受け入れる多様性はない
大人が子どもを早い段階で「常識」というものの型にはめようとする弊害なのか、
少しでも周りと違うことをすると目立つ
そして、それはだいたい悪い方に向かう

集団の中で「友達としてメリットの少ない子」だったであろう私は、当然、小さい頃は友達が少ない
自分の生き様は特に変えていないが、高校くらいから友達が増えているのは不思議
私の個性が「おもしろい!」と思われるようになったのは、周りの子たちに余裕ができてきたのか、たまたまそういう出逢いが巡ってきただけなのかはわからないが…

…というような子ども時代を過ごしていなかった人にとっては、
「子どもの世界=楽しい」なのかも
それはそれでとても恵まれていて幸せなこと

そんな人たちにはピンとこないかもしれないけれど、持論を続けると…


子どもの世界は残酷だ
分かりやすく力の強いものの発言力が強いし、弱いものは外されようとする
「言いたいことを言う」ことができるのは一部の子だけ
家や、学校以外のコミュニティでは生き生きしている子どもが、学校では小さくなっていることは少なくない
その逆もしかり
学校でやりたい放題好き放題の子どもが、家では自分の意見がまったく言えなかったりすることもある
(家でのストレスや寂しさを外で発散、タイプかと推測)

声の大きな子の前で、言いたいことが言えない子、
自分の身の振り方を周りの空気を読んで考える子、
私はみんなとは違うのよ、と思って周りとは距離を置こうとする子、
自分の意見を言うが、なかなかその道は困難な子、
外では好き放題だが、家では言いたいことが言えない子、
などなど…

そんな、「子どもの世界」を、リアリティーたっぷりで描く、本作の蓬莱さんの脚本はさすが❗❗❗❗
完成度が素晴らしすぎて、私のように「楽しくない子ども時代」を過ごした大人は観ていて苦しくなるかも、なレベル(笑)

蓬莱さんの作品は、
リアリティーがすごすぎて、その観察力、洞察力、表現力に驚くとともに、観ている途中、胸が苦しくなるような、そんな重苦しさがあるが、
見終わったときには嫌な感覚はなく、「もう観たくない」とは思わない
不思議な魔力を感じる


さて、
客席からは「カッコイイー❗」という黄色い声が聞こえてきていたので、キャスト重視での観劇の方が多いのかな…と(想定内)
キャスト重視でも、蓬莱さんの作品の魅力に気付いて帰ってくれるとよいのだけど…
最近の公演作品でも、「生の○○ちゃんを観られたので大満足だけど、作品は好みではなかった」
的な感想をちらほら見掛けたので、(←その考え自体は自由です、悪くないです、もちろん!)
キャスト先行の観劇で、脚本家の魅力に気付いてもらう、て、難しいことなのかなぁ…とも思ってみたり

日常会話で、例えば連続ドラマなど、見てるよ、て、言うと、
だれ目当て?て、よく聞かれて、
脚本家さんとか演出家さんのファンで、て、言っても、ふーん、な反応多いしな…
世間の皆さま、脚本家とか演出家で作品選びすることは少ないのかしらね…
と、思えば、アニメ映画は監督で選んでいることも多いような???
世間の皆さまの作品選びの基準が分からなさすぎる😥


好みが分かれる作品なような気がするが、気になっている人は是非❗



Sky presents『渦が森団地の眠れない子たち』

<東京公演>
期間:2019年10月4日(金)~20日(日)<20公演>
会場:新国立劇場 中劇場
主催:TBS/ホリプロ
後援:TBSラジオ
特別協賛:Sky株式会社
企画制作:ホリプロ

作・演出 : 蓬莱竜太

キャスト
藤原竜也 鈴木亮平
奥貫 薫 木場勝己

岩瀬 亮 蒲野紳之助 辰巳智秋 林 大貴 宮崎敏行
青山美郷 伊東沙保 太田緑ロランス 田原靖子 傳田うに