ガッキィィィンッッ
静かな草原の真ん中で、剣同士が噛み合う音が響く。
突然の襲撃者はアレットたちと、さして変わらないような少年だった。
ガキンッ、ガキンッ!
2人の剣が噛み合っては、離れまた噛み合っては離れる。アレットも強くなったが、少年もかなり腕が立つようだ。少年は、後ろからライアが放つ矢を軽々と避けていく。
ガツンっ!
「ちょっと、いきなりなんなのっ⁉︎」
アレットが体重をかけて剣を振り下ろすと、少年の大勢が少し崩れたところでライアが、
「アレット!伏せてっ!」
ヒュォッ!
と、音がしてライアの放った矢が少年の肩を貫く。
「っ⁉︎」
「あ、あっぶないなぁ!」
アレットが驚いたのは一瞬だけで、少年がよろけた時にできた隙を逃さなかった。
「っはぁぁぁぁぁぁっっっ‼︎」
渾身の力をこめて振った剣が少年の剣を弾き飛ばした。
キィィィン
緩やかに弧をえがいて剣は飛んでいった。
「ふぅ」
少年は、がっくりと膝をつきはぁはぁと肩をおさえている。
「なんで、あたしたちを襲った?」
アレットが、油断なく剣を構えながら言う。この深手では、カスタマイズできないだろうが念のためだ。
しばらくして少年が、
「・・・久しぶりに食いもんが手に入ると思った。」
「はぁ」
するとライアが、
「だったら、食べ物あげるよ?」
と、言った。
「ラ、ライア?なに言ってんの⁉︎こいつは、あたしたちに襲いかかってきt」
「別にいいじゃない?ちょっとぐらい、分けてあげたって。それに、すごい痩せてるよ?まともに、ご飯食べてないんじゃないかなぁ?」
「そりゃ、そうだけど・・・」
「ね?じゃ、決まり!」
とたんに、少年が目を輝かせる。
「い、いいのかっ?」
「うん!ただし条件!」
「お、おう・・・」
「私たちと一緒に旅を、すること。それから、毎晩見張りにつくこと。
わかった?」
(容赦ないね、ライア)
こう言うところでアレットはライアを怖いと、つくづく思う。
「うっ、仕方ない・・・。わかった。」
「よし!あなた名前は?」
「俺はユウヒ、よろしく」
「あたしはアレット、よろしく!あんた、強いな!」
「私はライア、よろしくね!名前がわかったところで、傷の手当てをしてあげます。」
「すまない・・・」
ライアがさっそく治療にあたる。
ふとライアが、
「すごい、傷跡・・・」
そうなのだ、アレットもさっきから気になっていたのだが、ユウヒの体は至る所に白くなった傷跡がある。そして、かなりの筋肉もついているようだ。
腹が減っているにもかかわらず、あの剣さばき、この筋肉、そしてその傷跡。それは、かなりの鍛錬を積んだ証拠だった。
ライアも同じことを考えていたらしく、
「・・・すごい鍛錬を積んできたんだね。」
と、呟いた。
「あぁ、俺には厳しい師匠がいたからな・・・」
(・・・いたから?)
「そ、その師匠は?」
「・・死んだ」
「え」
「俺が殺しちまったんだ」
「・・・」
「俺の、師匠の話をしよう」
