隠遁した身なのに、毎日のように封書が届き、片付けなければいけない事が次々と出来る。その一つの期限が迫っていたので、3時前になってようやく腰を上げ、近所の銀行に駆け込んだ。久しぶりの空は、梅雨の晴れ間で、すっかり夏になっていた。
用事を済ませ、すぐそばの100円ショップに入り、外出したときに買おうと思っていた未済・決済用の書類入れを買い、ついでにアゴヒゲ用の鋏の売り場に行ってみると男性化粧品が並んでいた。髭と一緒に伸ばしている髪がきしきししているので、200円のヘアクリームを買ってみた。
さて、家に帰り、ヘアークリームを密封しているラップを剥がすと、チューブの底から漏れているのかクリームが付着していた。私はすぐさま引き返し、レシートを見せてここで買ったことを確認して貰い、すみませんねと言って交換して貰い、家に帰ってまた封を剥がすと、今度は目の前でチューブが裂けた。
まあ100円や200円で売れるような品物の中には、細心の注意を払ったとしても劣悪品が混在してしまうのは仕方がない、許容範囲だ、と思える寛大な消費者の私なので、品質管理とか販売責任とか糾弾する気にはならない。けれど、折角髪をケアする気になったのに挫けてしまった気分は晴らさなきゃならない。今度こそ確かめていい商品に代えて貰いたい。でもなんでこの私がこんなに動き回らなきゃいけないのか、とカリカリし、遠方ならここで諦めてしまうところを、それでも近場なのでまた向かってしまう私だった。

古い在庫品で容器が朽ちかけているのか、いやもともと材質が悪いのかも知れないね、などと単に客観的な感想を述べているに過ぎないのに、女店員にはクレーマーと思われたのか、場を収めるように、返金でいいですよねと言い返され、210円手渡されて、ついついありがとうと言って帰りました。
数百数千万の損害を何回受けても文句一つ言えず泣き寝入りばかりして最後には悟ったように泰然としてしまうこの私が、こんなことで目くじら立てるわけでもないし、弱い立場の女の子だからと怒鳴りつけるわけでもないし、ましてや、洗うことができないお気に入りの帆布製のトートバッグにクリームがぺったり染み込んだことすら言ってないのに、なんだか追い返されてしまった気分になり、帰り道でぶつくさ独り言を漏らしてしまい、通りがかりの人に聞かれて恥ずかしかったです

世事を避け、のんびりゆったり暮らしたいのに、今日も一つ、小さい波風が立った一日でした。