こんばんは。

最近は、夜書きがすっかり習慣となってしまっております。

涼しくなりましたね。私の好きな季節がやってきました。

今日は、不定詞の3用法をやります。

まだ、「理論編」という感じですね。

高校入試と異なり、大学入試では、用法問題はそれほど出ません。

今日やることは、今後の読解の理解につながると思ってもらった方がいいと思います。

そういう意味では、重要であることに変わりはありません。

それでは、参ります。

[1] 不定詞の名詞的用法・・・文のS・O・Cになる。

<例文①> To understand his way of thinking is difficult for me.
 彼の思考形式を理解するのは、私には難しい。

→下線部は、文の中で主語(S)になっております。主語になることが出来るのは、名詞相当語句のみですので、この部分全体が名詞のカタマリといえます。
カタマリの切れ目を、正確につかめるようにしてください。それは、正確に言うと、toV'をV'として見立てたとき、文型が終わるところです。

また、頭でっかちな文は格好が悪い(結論がなかなか出て来ず、欧米人をいらつかせる)、また、情報構造から言っても、「新情報は、文末の方へ」というルールがありますので、実際には、以下のように形式主語itを用いて、to V~は新主語として後ろへ回すことの方が多いです。

<例文①-2> It is difficult for me to understand his way of thinking.

次の例文に行きます。

<例文②> My hope is to go to America.
  私の望みは、アメリカへ行くことだ。

→下線部分が、be動詞の後ろに来て、My hopeとイコールの関係になっています。
これは、補語(C)の役割で、「~こと」と訳せますので、下線部全体が名詞の役割をしているといえます。

<例文③> I hope to go to America.
 私は、アメリカへ行くことを望んでいる。

→下線部分が、他動詞hopeの目的語になっております。目的語は、名詞相当語句しかなれませんので、下線部全体で、名詞の役割をしているといえます。

名詞相当語句のもう一つの役割、「前置詞の目的語になる」が、to Vにはありません。

ここが、動名詞Vingとの違いの一つになります。

次に参ります。

[2] 不定詞の形容詞的用法・・・名詞を修飾する(Cになる)。

toVのカタマリは、形容詞になります。形容詞ですので、名詞修飾・Cになるという二つの役割がありますが、ことto Vに関しては、名詞修飾の用法さえ抑えておけばO.K.です。

<例文⑤> He is the first man to arrive here.
 彼が、ここに到着した最初の男だ。

→to V以下が、前にあるmanという名詞を修飾しておりますので、下線部全体が形容詞の役割をしていると言えます。
ここで注意していただきたいのが、to V'のV'と、修飾されている名詞との関係。
ここでは、the first man arrivesの関係がありますよね。こういう関係を<主格関係>と言います。

<例文⑥> Please lend me something to write with.
   何か書く道具を貸してください。

→ここでは、write with somethingの関係が成り立ってますよね<目的格関係>。
 入試では、このwithを入れさせる問題なんかが出ます。道具の時は、withを入れてくださいね。
 byではありません。byの後ろに来るのは、手段・動作主ですから。

さて、to Vにて名詞を修飾する時には、⑤の主格関係か⑥の目的格関係が成り立っている必要があります。

ですから、英作文などでto Vを用いて名詞を修飾する時には、この関係が成り立つように意識してください。穴埋め問題の時には、修飾される名詞との関係を考えて入れるものを考えてください。

例外的に、⑤・⑥の関係がなくとも、修飾出来るものがあります。
たとえば、次のようなもの。

<例文⑦> I have the hope to go to America.
 私には、アメリカに行きたいという希望がある。

「希望が行く」訳でもないし、「希望を行く」訳でもない。
to以下は、hopeの内容説明をしている<同格関係>。

この修飾の仕方が可能なのは、
(1) 修飾される名詞が、他品詞からの転換(例文③を参照せよ)。
(2) 修飾される名詞が、timeやreasonやwayなど、関係副詞の先行詞となるもの。right「権利」やmeans「手段」など、一部の語句。

→ここは、あまり深く突っ込まなくてもいいと思う。問題として出されるのは、⑤⑥、特に⑥の方なので、そこをしっかり押さえてくれればO.K.です。

そもそも、<同格>というのは、定義としては、「名詞を二つ並べて、説明し直す」ことなので、人によっては、これを名詞的用法と考える人がいるでしょう。

意見の分かれるところなので、問題として出されたら、他の選択肢を見て臨機応変に対応することが必要となります。

次に参ります。

[3] 不定詞の副詞的用法・・・意味に注意。

<例文⑧> I hurried to the station to catch the train.
 私は、その列車に乗るために駅へ急いだ。<目的>

→一番メジャーな意味ですね。to Vの持つ、矢印のイメージが一番良く現れているものです。

<例文⑨> I was surprised to hear her speaking in such a rude way.
 彼女がそんな無礼なやり方で話しているのを聞いて驚いた。<感情の原因>

→感情を表す形容詞の後に続けて、その感情が生じた原因を表します。

<例文⑩> He must be crazy to say such a thing.
 そんなことを言うなんて、彼は気が狂っているに違いない。<判断の根拠>

→must beなど、判断の文に続けて、その判断を下した根拠を示す。

<例文⑪> She grew up to be a scientist.
 彼女は成長して科学者になった。<結果>

→決まった表現で出る。only to V「Vしただけだった」, never to V「2度とVしなかった」 、live to be ~「~歳まで生きた」、grow up to be ~「成長して~になった」を覚えておきたい。

<例文⑬> To hear him speak English, you would take him as an American.
 彼が英語を話すのを聞くと、君は彼をアメリカ人だと思うだろう。<条件>

→後ろの助動詞の過去形に着目。<例文⑧>の<目的>とは、意味で区別する。

<例文⑫> She was rich enough to buy a new car.
 彼女には新車を買うのに十分なお金があった。<程度>

 →enough to V, so as ~ to V, too ~ to Vなどの表現で、前にある形容詞の程度を具体的に示す。


[4] 不定詞の意味上の主語

→不定詞の意味上の主語は、用法に限らず、forで示すのが原則です。

たとえば、

<例文⑬> This is the chair (  ) you to sit in.
 これが、君が座るべき椅子だ。<形容詞的用法>

<例文⑭> He stepped aside (  ) her to pass.
 彼は、彼女が通れるように脇へどいた。<副詞的用法>

⑬では、座るのは君、⑭では、通るのは彼女なので、それぞれ意味上の主語になっています。
これをしめす前置詞は、forです。

次の2文を比べてください。

<例文⑮> It is impossible (  ) you to solve it in a minute.
 それを君が一分で解くのは無理だよ。

<例文⑯> It is careless (  ) you to lost the key.
 鍵をなくすなんて、君は不注意だ。

→どちらも意味上の主語は、'you'です。

ところが、入る前置詞は⑮がfor、⑯がofになります。

なぜなら、こういうルールがあるからです。

「前に、人の性質を表す形容詞がある時には、意味上の主語はofで示す」

前にある語句が人の性質か否かは、意味上の主語とbe動詞で結んでください。

⑯は、You are careless ~.と言い換えられますよね。こういう時はof.

⑮は、You are impossible ~.とは、言い換えられませんよね。こういう時は、for.

説明は、以上です。

問題演習で、定着させましょう。

<問題演習編>

[1] 次の不定詞の用法を下線部を引いて(名)(形)(副)で表し、和訳せよ。

1. It is bad for the health to smoke too much.

2. The fog made it impossible to see even a few meters ahead.

3. The old woman has no relatives to take care of her.

4. He announced his decision to resign.

[2] 以下の不定詞句に下線部を引き、用法を(名)・(形)・(副)で指摘し、和訳せよ。副詞的用法の場合には、目的・感情の原因・判断の根拠・結果・程度・条件のどれに当たるか指摘せよ。

1. How foolish of him to write such a letter !

2. To know what is going on the world is interesting.

3. To know how well she speaks English, you would be surprised.

4. To know her better, I asked her a lot of questions

5. This is the house for her to live in.

[3] 下線部と同じ用法のtoVを、①~⑤から選べ。
 <2012年 日本福祉大~改題>

It appears that they have failed to understand the gravity of the fact.

 ① It is kind of you to help her. ② Do you need something to eat ?
 ③ I wish to pass the exam.   ④ We must sleep to get up early.
 ⑤ He is too busy to visit us.

<解答と解説と和訳>

[1]

1. It is bad for the health to smoke too much.
 (名)<主語>:タバコを吸いすぎることは健康にとって良くない。

2. The fog made it impossible to see even a few meters ahead.
 (名)<目的語>霧が、数フィート先すら見えるこことを不可能にした。
  →霧のため、数フィート先すら見えなかった。

3. The old woman has no relatives to take care of her.
 (形)<主格>:年老いた彼女には自分の面倒を見てくれる親戚がいない。

4. He announced his decision to resign.
 (形)→(名)としても可。<同格>:彼は、辞めるという決意を発表した。

[2]

1. How foolish of him to write such a letter !
(副)<判断の根拠>:そんな手紙を書くなんて、彼はなんて愚かなんだ。

2. To know what is going on the world is interesting.
(名)<主語>:世の中で何が起こっているのか知ることは興味深い。

3. To know how well she speaks English, you would be surprised.
(副)<条件>:どれだけ上手に彼女が英語を話すか知れば、君は驚くだろうに。

4. To know her better, I asked her a lot of questions
(副)<目的>彼女をもっと良く知るために、私は彼女に多くの質問をした。

5. This is the house for her to live in.
(形)<主格>:この家は、彼女が住む家だ。

[3]

It appears that they have failed to understand the gravity of the fact.

→名詞的用法<他動詞failの目的語>
 (訳)彼らはその事実の重大さに気づいていないようだ。

 ① It is kind of you to help her. 
  名詞的用法<真主語>→副詞的用法<判断の根拠>としてもいい。こちらの方が近いと思う。
 (訳)彼女を助けるなんて、君は親切だ。

 ② Do you need something to eat ?
  形容詞的用法<目的格>
 (訳)何か食べるものが必要ですか?

 ③ I wish to pass the exam.  
  名詞的用法<目的語>
 (訳)私は試験に受かりたい。

 ④ We must sleep to get up early.
  副詞的用法<目的>
 (訳)私たちは早く起きるために寝なければならない。

 ⑤ He is too busy to visit us.
  副詞的用法<程度>
 (訳)彼は私たちを訪れるには忙しすぎる。

これで正解が得られた。正解は③。

以上で、今日の講義はおしまいです。

また、明日。