「パンズ・ラビリンス」のギレルモ監督の作品、「MAMA」を観ました。



痛いホラー映画は嫌いだけど「MAMA」のような悲しくて美しいホラー映画は好き。
パンズ・ラビリンスの世界観がこの映画にもありました。

ギレルモ監督の作品は上記2作品しか観たことがないけれど、もしかしたらこの監督のテイストが物凄く好きかも。

以下ネタバレ。

個人的見解を含んだあらすじ。

森の中に取り残された幼い姉妹が5年後に発見される。
可愛かった姉妹は酷く凶暴で、蝶をむしゃむしゃと食べ、四足で歩く常軌を逸した風貌へと変貌していた。

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彼女たちは森の中で恐怖の「MAMA」に育てられていたのだ。
MAMAとは、子供を亡くした悲しい女の霊。
蜘蛛女のように四足で歩くおぞましい存在。

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姉妹の実父の弟とその彼女に保護された姉妹の元にMAMAはひっそりと訪れ、姉妹を遊ばせる。

どんなに恐ろしい姿であっても、姉妹にとってMAMAはMAMAであり、愛しい存在なのだ。

しかし姉妹の姉の方は、みるみると正常な精神状態を取り戻し、MAMAと距離を置くようになっていく。
森で発見されて以来、姉妹と暮らし保護してくれている親切な実父の弟とその彼女を守るためにも。なぜならMAMAは姉妹に近づこうとする者を傷つけようとするからだ。

だから姉はMAMAに「彼女たちを傷つけないで」とお願いをする。


そしてラスト。

MAMAは、姉妹を連れ去り、姉妹を保護する二人に危害を加える。

結果的にMAMAは、妹を現世ではない世界に連れて行ってしまう。
幼い妹はMAMAの胸に抱かれてとても嬉しそうに(ママ~という感じで)キャッキャと笑っている。闇の聖母と無垢な赤ん坊の戯れのようなイメージ。

姉はMAMAに「一緒には行けない。(でも)大好き」と泣きながら別れを告げる。

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ここの描写が恐ろしくも美しいのです。。。

そして結局、妹を連れ去ってしまうMAMAの身勝手さもご都合主義でなくていい。

MAMA一人が姉妹を諦めて去っていくハッピーエンドにしなかったのは、ギレルモ監督らしいと思う。なぜならパンズ・ラビリンスも、ファンタジー映画かと思いきや、悲しみの果てのようなバッドエンドだったから。

飢えと凍えで森の中、孤独に命を落としたかもしれない姉妹を育ててくれたのは、まぎれもなく残酷で凶暴でおぞましいMAMA。

どんな醜い姿であろうとも、物心がつかない内から二人を育ててくれたMAMAは、姉妹にとって永遠に愛しい存在であることに変わりはない。

しかし、人間に保護され、身も心も人間に戻っていく姉妹は、次第にMAMAとは共存ができなくなっていく。特に賢く冷静な判断力を取り戻した姉は、共存していてはいけないと感じていく。

MAMAの凍てついた母性。少女の葛藤。
優しさ悲しみ恐怖。とてつもなく冷たくて美しい映画。

子役の二人の熱演にも拍手!でした。

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