思い出すこと。



「本当に大切なもの」



私に問う。



あの時、


私にとって、本当に大切だったものは。


私は、


わかっていたのに。


気付かないふりをして。


自分に嘘をついて。


これでいいのだと、自分に言い聞かせて。




でも、


それを失ったとき。


やっとわかったんだ。


泣きたくて。


その場で、うずくまりたくて。


何もしたくなくて。


でも、


泣けなかった。


本当に、本当に嫌だったのに。


悲しかったのに。


すごくすごく


いやだったのに。




何度も、心の中で臨んだ自分がいたのに。



でも、


私の気持ちを。


ちゃんと。


行動に移せなかった。


今では、なんともないと


思ってた。



本当に、そうだと思ってた。



彼の名前を、声に出そうとするだけで


私は、全身が熱くなった。




いつの間にか、そんなのも消えていた。


もう、大丈夫だと思っていた。



でも。


わかる。


やっぱりわかる。



彼は、まだ、私の中にいることを。



時々、


彼を思い出す自分がいる、



思い出して、足取りが遅くなる自分がいる。


下を向いている自分がいる。


一点しか見れない自分がいる。


思考が止まっている自分がいる。




その時、彼は、


私の中に、まだいることに気づく。