やりがいしか与えられない僕ら | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

先日、同じチームの部下が一人辞めまして、まぁその子は少し前からそんなニュアンスをほのめかしていましたので話を聞いたときは致し方ないかとは思ったりしたんですが、仕事に対するモチベーションというのは環境にも増して自分自身の内から来るものが大きかったりするのでどうやってそれを外からの刺激として向上させるのかというのは難しい問題であると痛感したりしました。



どうやってモチベーションを与えるのか


チームメンバーが流動的であることは決して悪いことではありませんし、それによって新しい知識やその人が他のメンバーの模範となることによってモチベーションが生まれることもあります。

ただ、一般的に人が新しく入ってくるのは、それまでの過程も含めて手続きや教育のコスト、その人が立ち上がるまでの一時的な戦力ダウンを補うための編成などなどを考慮すると大きな労力がかかることです。


組織長から見れば人を一人入れたんだから要員は足りているはずだし戦力もアップしているだろうと考えられたりもするのですが、現場をまとめる立場からすればそうも簡単な話ではなく、やっぱり(優秀であって)その環境に慣れていて話を通しやすいメンバーがいてくれた方がチーム運営としては随分と楽なことではあるわけです。

その維持のためにメンバーにどうやってモチベーションを持続させるのか、というのは自分自身のモチベーションを維持する話より難しいことであると思ったりしています。


親の世代ならいざ知らず、自分たちの世代では終身雇用なんてものは全然実感がわかなかったりするもので、現に周りでは人の出入りが多かったりしますからそんなに難しく考える必要が無いことなのかもしれません。

ただ、自分が小さくとも組織というものを管理する立場になったりすると、優秀な人材は長くいて欲しいと思いますし、今要るリソースでその後のプロジェクトの計画を立てるのでその要員が抜けたりすると頭を抱えることになったりします。


その人のモチベーションをあげる方法は、その対象者によって給与だったり、やりがいであったり、職場の雰囲気や仲間であったりと異なってくるのですが、管理するマネージャーの立場からみればその要素を与えること自体が最初から難しいということもあります。

例えば如何に組織を管理する立場でも給与を大幅に上げることは難しいでしょうし、変な会社の文化というものが根付いているところではそれを大きく変えることに抵抗が生まれたり、ある人のために仲間を選定するということも本末転倒なことになったりします。(ここでの話はたいした権限も持たない中間管理職ってことで)


結局のところ、一番それっぽくそして融通が利きそうなところで「やりがい」という言葉を口に出したりもするのですが、それでもその組織のミッションが決まっていることから、システム運用をするチームでバリバリ開発業務を与えるというのは難しかったりもするので、かなり制限をさせられる結果になります。

私の場合も、一番手っ取り早いところで「やりがい」というものを何とかその子に与えてやれないかと考えてたりもしましたが、最終的には本人の希望に沿うことができなかったようです。


「やりがい」というものも当然本人が意図しているところと、会社として与えるものとの差は大きくあったりもして、「そんなことに興味は無い。面白いとは思わない」といわれたらそれまでなんですが、それでもこの「やりがい」という言葉を会社として多用するのは、半ばやりがいという言葉と組織としてのミッションと一緒くたにしてしまおうという打算も見え隠れします。

ですので、最初からその当人に対して(そもそもそれを求めているかも含め)やりがいを与えることでもベーションを維持させることすら難しいケースも多々あるかと思います。



どんな仕事の楽しさを与えられるか


モチベーションというのは自分で見出すものだという意見もあったりします。

現に、そんな啓発本なんかいっぱい目にしたりもしますし、(外部からの助言によって増減するところではありますが)、最終的にやる気というのは自分の内から出てくるものなので、気持ちの持ちようってところもあります。


モチベーションがあがらないといって辞めたはいいものの、結局次の職場でも同じような仕事をしていてまた転職していくという人を見てきてますが、職場が変われば雰囲気も違うしその環境だったらもっと楽しく仕事ができるのかもしれないと考えているのかもしれませんが隣の芝生は青く見えるだけなところも否めません。

給与だけを追い求めて転職を繰り返し、やっぱり定時に上がれる仕事をしてた方がいいなんて愚痴を聞いたりもしますけど、そうやって経験をしないとなかなか本人的にわからないことなのだと感じます。


仕事のモチベーションが給与だけといわれたんなら、(それをどうにかできる権限が自分に無いとして)転職を勧めることも本人のためかもしれませんが、そうではないのであればやはりモチベーションを上げる環境を提供することでそれを向上させてあげるしかありません。

やりがいという言葉について先ほど書きましたが、なんとなく今のこの言葉は本人の内なる気持ちを表す言葉なのに会社が与える使命のように使われている気がしてならないんですが、もっと簡単に言ってしまえば仕事が楽しいって思ってくれることなんではないかと思うわけです。


この仕事が楽しいって言葉は言うのは簡単でもそんな単純ではないのですが、仕事に集中できる環境があり、自身が思い描くキャリアパスを通ることができ、切磋琢磨できる仲間がいて、アイデアが沸いてくる刺激があり、政治的な立場に巻き込まれる面倒がなく、快適なオフィスがあって・・・、と言い出したらきりが無いわけですけど、実際問題それらを全て与えることもよっぽどの大企業でもない限りできませんし、それがよい方向に必ず転ぶわけでもなく賛否両論もあったりします。


結局のところ自分のような小さなチームの中でのエンジニアとしての楽しさを出すためには、同じ開発手法をとらないとか、違った言語やフレームワークを採用するとか、業務のローテーションをさせてインフラからアプリケーションレイヤまで幅広い仕事をさせてみるとか、客先に出して生の声を聞いてみるとか、小さなことでも色々と目新しいことを当人にさせてみるうちにどの分野で楽しさを実感するのかということを試行錯誤ぐらいしかないかなと思ったりします。

一口にエンジニアといっても、技術のコアの細部まで突き詰めていくような博士肌な人もいれば、上流工程でお客さんと話しをするのが好きとか色々タイプも異なりますので。


結局は自分で楽しいと思えることに気が付いてくれ、その仕事をしたいと思ってくれないのとなかなかそのチームに長く居座ってくれないんでしょうけど、その環境やきっかけを与えるために何をしてあげられるのかって考えるのは大事なことではないかと思うわけです。