シェークスピアの喜劇から生まれた言葉である。
彼らの商魂の逞しさを身をもって体験した。

いつかは沈んでしまう特殊な街。
ベニスといえばヴェネチアングラス
この地は映画「旅情」を彷彿とさせる。
撮影の頃と変わらない迷路や建物
運河の匂いが旅情をかき立てる。
コンシェルジュの誘いもあって
ムラーノ島にはホテルが用意したボートで渡った。
工場見学、職人の作業見学、そしてショップ。
段取りよく事は進み、出会いの品がないか物色していた。
スーツで決めたマネージャー登場。
巧みな英語と面白い日本語を使う
長年観光客とやりとりしていた手際の良さが目につく。
目移りするのガラスの中で時間は悪戯に過ぎる。
結局の所、コレは ! ! という出会いがないのが真実だった。
そう簡単に納得できないプライスである。
そう告げると彼のセールストークは炸裂した。
目線を送った商品は次から次へと
アシスタントの手により丁寧にテーブルの上に運ばれ
それらのディスカウントを開始した。
ん~といった態度に
半額のオンパレード
終いにはいくらだったら買うのか!
本領発揮、押し売りの世界に突入した。
日本人のみなさんは容易に
お買い上げになるのだろう。
連なる日本人観光客が店に押し寄せる
幾多の光景が頭を過ぎった。
こちらも意地である。
旅先の買い物は帰ってから後悔したくない。
「Non Grazie !! 」
確固たる態度を見せると
彼の態度は一変した
今度は泣き脅しである。
何度もこれるところでは無いんだよ。
うちの店はベニスで最もいいものを作る工房なんだ。
なんでもいいから決めてくれよ~表情が窺えた
美しいギャラリーの商品たちは
一瞬にして白くかすんでしまった。
喜劇のエンディングを
迎えないといけない時間経過である。
白くなったギャラリーショップ。
時間が止まった。
振り返ると
妻は2つの器を抱えていた。
喜劇の幕引きは簡単に訪れた
フィナーレである。
アシスタントは手際よく包装した。
納得のいかない顔の彼と朗らかに別れた。
幕は下りゆく
何やらの視線を背に
小さな器をパッキンしたバッグを抱えて
ムラーノ島からボートは離れた。
キャナルグランデは濃い潮の香りと
重い湿気に包まれていた。
サンタールチアのハミングが
船上で聞こえる。
あらから何年経ったであろうか
気づくと2つ並んだその器は
時折、食器棚の上で光を放つことがある
それを見ては想い出してニヤけてしまう。
ベニスの商人とやり合えた
愉快なエピローグが光の中から浮かんでくる様である。
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