さて、過去のアメリカでの交通事故で
頭を強く打ったことから記憶が飛び
頭に少々欠陥があると
自分でも自覚しているS女史が
お約束の時間から4時間遅れで
キャンピングカーオーナーの家に到着した。
オーナーは見るからにイラついていて
「あのね、契約書見れば書いてあるんだけど
この遅刻の4時間は普通支払いが生じて有料になるところだからね!
僕達は14時に待ち合わせたハズなのに
この失われた時間はどうしてくれるんだ!?」
S女史は
「ごめんなさい、彼女にトスカーナの小都市を
見せたくて、周りながらきたら遅れてしまいました。」
もういいよ、これが車だから、
説明するにも時間が掛かるんだ。
中に入って!スイッチとかドアの開け閉めとか
シャワーの説明するから。
オーナーは、シャワーの使い方や
水の排水方法や
ドアの開け閉めの方法を逐一教えてくれた。
その間、今度はS女史が明らかにイラついているのが解った。
このキャンピングカー、どう見ても汚いのだ。
昨日まで使っていた人の髪の毛が付いていたり
流しの所に何かの食べかすがこびり付いていたりする。
今度はS女史が怒り出した。
「あの、この車、掃除が行き届いていないようですが。
契約書には掃除代50EUROって書いてあったし
私達は掃除代も払っているのにこの状態ってどういう事ですか??」
うわ〜、大遅刻してきた上に逆ギレ。
本当に言いたい事言っちゃう人だよねぇ〜
もう既に自分に否があるのだから
ここはグッと我慢して抑えて自分達で掃除すればいいのに。
(とか思っちゃうのは、私が日本人だからなのよね)
それを聞いてオーナーも逆逆ギレ。
「あのね、君、遅れて来たのを許してやったのに
今度は借りる前から苦情かい?
別に僕は君に鍵を渡さなくたっていいんだよ!?」
おいおい、サッサと借りておうちに帰ろうよ。
もう辺りは暗くなってきているのに。
S女史も、ここは黙って、最後まで説明を聞いて
自分達の車に積んできた荷物を
積み込んで良いと許可をもらって
その前に!私達でザッと掃除をしよう
という事になった。
S女史が既に持ってきている掃除道具で
除菌スプレーをかけて
内部の全ての表面に雑巾をかけた。
それから荷物を積み込んで
約1時間後に私達はオーナー宅を出発した。
あ〜ぁ、これからまた3時間の道のり!?
本当に大変な所から借りてくれたものだよ。
全てを解っていたら、最初からNOと言っただろうよ。
きっと15年前くらいのボロいモデルだが
S女史の運転で、なんとか走り始めたよ。
シートはそれほど悪くない。
視界も高くて良好だし
これなら、長旅も疲れないかもしれない。
私達は1日歩き回った上に
掃除までして、結構ヘトヘトだった。
途中の屋台の売店で水を買って、ゴクゴク飲んだ。
そこではパニーノなども売っていたが
なるべく早く家に着くことを祈って
そこでは何も買わなかった。
S女史は、初めてキャンピングカー、運転する〜!と
ウキウキしていた。
高速に乗ってから、ガソリンスタンドで給油した。
満タンにしたら90ユーロ掛かった。
普通、前に借りていた人は満タンで返却するんじゃないの??
じゃぁ、私達も満タンで返さなければいいだけか?
取り敢えず、行きはS女史の車で来たので
ここは私がガソリン代をたて替えた。
このキャンピングカーを前に借りていた人は
2ヶ月間も、この車を借りていたのだという。
随分の長旅をしていたものだね。
私達はフィレンツェに向かってひたすら走った。