2年前の1月23日に義母がモロッコで息を引き取った。

 

2019年の夏に

義母と一緒に過ごして

別れ際に、彼女は

まるでこれが最後と解っているかのように

私達に最後の別れの言葉を告げ、キスをしてくれた。

 

 

2017年1月7日に夫の弟も亡くなっている。

享年43歳だった。

 

 

2016年に義姉が足を切断してから

私達は最悪の4年間を過ごした。

 

 

もう、これ以上辛い日々はないのでは??

ってくらい、沢山の酷い事が

後から、後から、襲って来た。

 

 

結局私は他人事で

夫が全て自分の家族に起こる不幸に

きっと心臓をナイフで刺されているかのような

痛みに襲われていただろう。

 

 

2019年の年始は

モロッコの義母が危篤

イタリアの義姉が危篤

フランスの義兄も入院して危険な状態でいた。

 

しかも、そんな状況の中で

姪っ子達から私達夫婦は偽善者!と怒鳴られ

義姉の殺人疑惑を突きつけられていた。

 

 

私達はこの辛い事ばかり起こる日々が

まるで当たり前のようになってしまい

このままずっとこんな笑えない日々が続くのでは?と

明日の希望なんて抱けずにいた。

 

 

 

 

あの2019年がコロナと重ならないで

本当に良かったと思う。

 

でなければ夫は完全に鬱になって

立ち直れなかったと思う。

 

 

 

夫は今は笑えるようになって

あの頃から比べたら

異様に静かな日々を過ごしている。

 

 

他のお家の家族は

みんなこんなに静かに暮らしているのかな?

 

 

私達夫婦は、二人で居ればこんなに静かに暮らせるのに

ずっと、ずっと、ずっと、

他人の騒ぎに巻き込まれて

大変な日々を生きてきた。





 

 

 

義母は今頃天国でどうしているかな?

夫は一度義母が天国で

2階建ての新居に

新しいキッチンを入れよとしている夢を見た。

 

夫が、「僕が新しいキッチンを買ってあげるよ!」

と言うと、35歳くらいに見える
美しい義母が嬉しそうに微笑んで

夢は終わったのだという。

 

そのアパートは全ての家具が揃ったのだろうか?

モロッコの実家には

全く似合っていなかった

義母の高貴な微笑みが蘇る。

 

 

まるで皇室の美智子さまが

下町の庶民の家で

あり得ない余生を過ごしているような

なんともチグハグな姿だった。

 

 

彼女から学んだ事は

人はどんな環境に於いても

魂が高貴な人は、その姿は揺るがないという事だ。

 

 

私達夫婦は、彼女に会いに行く以外

あのモロッコの実家に行く理由が無くなってしまった。


しばらくは行かなくても良い、と思っている。
親戚との関係に疲れ果てた私達は

少し休養が必要だ。

 

 

ゆっくり、休もう。

今は、世界が私達に休め、と言っているようだ。

義母の穏やかな姿を想いながら、
心も、身体も、ゆっくり休もう。