こんなに個性の強いモロッコ人達が

22人も一つ屋根の下で

一体何日持つのか?かなり疑問だったのだけれど

なんと、7日間も喧嘩もなく過ぎた。

 

 

一番笑えたのはお風呂の前の長蛇の列だ。

 

この海辺のアパートには

小さなシャワーとトイレが一緒になった風呂場が

一つしかなかった。

 

 

みんな海から帰ってくると、

我先にとお風呂の前に並んで

みんなが髪の毛を洗った。

 

 

お湯はガス給湯で出てくるもので

常にお湯が出たのは幸いだったが

あの長蛇の列だけは頂けなかった。

 

 

 

それでもなんとか、私は時間をずらして

早朝にシャワーを浴びたり

昼間トイレに行きたかったら

隣のバールにカフェしに行ってそのままトイレに行ったり。

 

 

オッサンばかり集うカフェじゃなく

女性や子供達も一緒にくる

パフェなども取り揃えているバールで

気軽に安心して入れる所で良かった。





 

 

 

7日目の夜だ。

ベルギーから来たマダムが

冷蔵庫に買って置いておいたという

ヨーグルトが消えたと怒っていた。

 

 

それはB氏の姉の息子が勝手に食べたのだという。

この息子は、とにかくいつも食べている人間だった。

しまいにはお皿まで食べてしまいそうな勢いで

人生を食べる事にかけている男だ。

 

 

22人もいる家に

自分だけのヨーグルトを買ってくる

彼女も彼女だが

食べちゃう彼も、どうかと思うよね。

 

 

モロッコでは勝手に食べられてしまうのは

結構当たり前の事だ。

 

私も、夫の実家の冷蔵庫に色々買い置きをしておくと

下の階から入ってきた子供がヨーグルトを取って行ってしまったりする。

もちろん断りもなくだ。

 

 

これはお家の教育にもよるだろうけれど

その家が開放的であればある程

物の出入りも自由であったりする。

 

 

夫の実家の場合、義母の耳が遠くて

義母の目の届かないキッチンは

もはや無法地帯となっていて

誰でも入ってきては好きなものを取って行ってしまうのだった。

 

 

この海辺の家でのヨーグルト事件を発端に

みんな集団生活の疲れもピークに達したのか

B氏のお姉さん側軍団は、明日帰ると言い出した。

 

 

ハァ、やっと本来あるべき姿、

私達8人だけの生活に突入できるのか!

ヤター!!!

 

 

最後の2日間だけでも静かに寝てみたいラブ

 

 

こうしてみんな翌日には出発して行き

私とB氏家族だけが残った。

 

 

翌日はB氏の娘さんの誕生日だったので

私はバースデーケーキを買ってきて

夜はみんなでお祝いした。

 

 

 

昨年はお家ディスコ状態で

派手に彼女の22歳の誕生会をやっていたのが懐かしい。

 

今思えば、あれはお家にいる最後の誕生会という事で

盛大に祝っていたのだ。

 

彼女はお嫁に行く準備をしていたのだった。

今年(2019年)は結納パーティーを、結婚式並みに派手にやり

翌年結婚する筈だったのが、

コロナで派手派手結婚式が出来ず、静かに家でパーティーしたらしい。

 

 

 

翌朝私達は大荷物をまとめて海の家を引き払った。

 

きっとこんなにB氏の家族揃って旅するのも

あれが最後だったのだろうと思う。

 

 

娘さんの旅立ちの日も近く

親御さん達の気持ちは

こうして最後かもしれない家族との日々を

大切に、大切に旅行に費やしていたのに

22人雑魚寝事件勃発真顔笑い泣き

 

 

やはり価値観の違う親戚が

一番厄介だよね。

 

B氏家族にしてみれば

踏んだり蹴ったりだったけれど

私は、思いの外、いろんな人間観察が出来て楽しめた。

 

 

こんな大切なライフイベントに

一緒に参加させてもらえて

本当に感謝の気持ちでいっぱいになった。

 

 

そして私はまたあの

価値観が全くかけ離れた

カサブランカの親戚のもとに戻って行くのが

恐ろしく感じたニヒヒ