メキシコ人のPちゃんは
スペイン旅行の前から
私に一緒に家を借りようと提案していた。


何軒か物件を見て
Via della pergola の中庭付き1階の家を
同じくメキシコからやってきた
Pちゃんの従兄弟と3人で借りた。


ミゲーレという従兄弟は
メチャクチャ若いお坊ちゃんで
お父さんが見送りに一緒に来ていた。



お父さんはドライヤーやミニアイロン
ミニ湯沸かし器に、あれやこれや
新居に必要な物を買い込んで
息子に与えて去っていった。



ここでの想い出は
月曜、水曜の夜になると
踊りたくて、いても立ってもいられないPちゃんに
引っ張り回されてディスコに連れて行かれたこと。



私が外から帰ってくると
流しのお皿が山のように重なって
倒れそうになっていること。
(奴らは絶対に直ぐには洗わない人種だった)



中庭はあったけれど
蚊が多過ぎて、中庭では何も出来なかったこと。



結局ミゲーレが帰国する事になって
二人で家賃は払いきれないので
みんなでこの家から退散することに。







その後Via della Spadaの家に数カ月移り住み
Aさんと出会ったことで、
Aさんの家の前に間借りで1室借りた。



私はAさんとSさんと一緒にご飯を食べていて
夜は遅くまでお喋りして
結局間借りの1室に帰り着くことは殆どなかった。



そのうち、この家の家賃払ってる意味無くね?と、
Sさんに同居して良いという許可をもらって
Aさんの広い部屋を二人で使うことになった。



私が入る前は、ホテルのように整理整頓され
整然としたお部屋だったのに
私が入った途端、それは乱れ
本が山積みになったり、書類が散乱したり
散らかし魔の登場を物語っていた。



根っから神経質だったら
こんな私とは同居出来ないと思うけれど
なんとAさんは、散らかし魔の私に何も言わず、順応してしまった。


この頃、私はブランド物の
バッグの買い付けのバイトをして
お小遣い稼ぎはしていたが
また貯金は無くなってしまっていた。


それを聞いたAさんは、

僕に任せておきな!
君を養ってあげるよ!!


スッゴク自信満々で
白い歯を見せてニカッと笑ったAさんは
間借りでギリギリ生活していける程度の給料しか
貰っていないことを私は知っていた。


Aさんといると
とても幸せな気分でいられるのだけれど
現実はとても厳しい状況なのは目に見えていた。



だけど、なんなの?
この彼の根拠のない自信は!??


悲観的な日本人とは違う
彼の超楽観的思考に、私は目を奪われた。


そして、一緒に住んで
この幸せそうな男の楽観的思考の根拠を掴むべく
私は彼を観察してみることにした。