通常は左のように、20kgの錘2個を、大腿四頭筋とハムストリングスで引いているのと同じです。
しかし膝伸展位では後方関節包が緊張して、ハムストリングのの力を使わず、大腿四頭筋の力だけで膝を伸ばせます。その場合、滑車運動は真ん中の図のように、片方を壁に固定し、20kgの重水を10kgの力で引くことになります。10kgで20kgを引けるのは2倍の長さを引く必要があるからです。
手術で大腿四頭筋を切り、膝蓋骨を脱臼させると、筋肉に緩みが生じ、大腿四頭筋が最もゆるも伸展位では力が出ません。
少ない力で膝が伸びれば、大腿四頭筋を切って手術しても実際は大きな力が出せ、移動距離が大きいほうが、筋肉が緊張して力が出せるようになります。
実際は人工膝関節手術時には後方関節包を剥離するため、手術後は大腿四頭筋、ハムストリングスの筋力だけで、膝の曲げ伸ばし、歩行も行うことになります。膝後方の靭帯、関節包を残して機能させれば、少ない筋力で歩けるはずなんですが。しかも手術後時間をかけて、緩んだ筋肉が拘縮して力が出るようになるのを待つ必要がなくなります。