さて、上機殿(神麻績機殿神社)を参拝した後は、一路内宮(皇大神宮)へと向かうのですが、その前にちょっと寄り道。

 

前回のお話はこちら。

 

斎宮(さいくう:いつきのみや)跡に立ち寄りました。

斎宮というのは斎王(さいおう)が生活をしていた場所、そして斎宮寮という役所があった場所です。

斎王とは、天皇陛下に代わって伊勢の神宮の祭祀に奉仕した皇族女性のことで、この制度は平安時代には整えられていました。

斎王は未婚の内親王(女性皇族)の中から、卜定(ぼくじょう:占いのこと)で選ばれ、基本的には天皇の御代替わりが行われるか、斎王本人が病になるか、肉親に不幸があった場合のみ、その任を解かれます。つまり事実上、斎王になると一生を過ごすことになったのです。

 

 

伊勢の神宮とは切っても切れない関係性がある斎宮なので、時間があれば斎宮歴史博物館にも立ち寄りたいところですが、今回は日帰り旅行なので断念。

 

ここに立ち寄った目的は、この付近で 大麻 が栽培されているからです。

”大麻” というと、多くの人は「薬物」とか「やばい」とか思うかも知れませんが、この ”大麻” はそういう危険薬物の系統ではありません。

神事に用いる 麻芋 のために栽培しているものです。

 

大麻は古くより日本人の生活に密着してきた植物です。
しかし、戦後占領政策の中で、大麻取締法が定められ、その栽培地に制限がかかります。

詳しいことは長くなるので省略しますが、現在は都道府県知事の認可がないと栽培できない作物になってます。

そういう中、大麻農家は年々減少し、今では栃木県に数件が残るくらいにまで縮小してしまいました。

しかし10年ほど前、様々な困難を乗り越えて三重県での栽培が始まりました。

その麻畑を見てみたくて立ち寄ったのです。

「お伊勢さん と 麻 をたどる旅」ですから。

 

 

この写真が 大麻畑 です。

昔は、高い塀で囲って、防犯カメラをつけたりしなくてはならなかったそうですが、現在はこんなに近くに立ち寄れるくらいに身近になっているようです。(でも勝手に栽培すると違法です)

こんな写真をUPすると「大麻を吸う人間に狙われたりするのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、そんなことは無いそうです。

ツアーの参加者に麻薬の使用を検査する仕事に携わっていた方がいて、まず「この大麻は私達が麻薬として取り締まっている大麻と葉っぱの形が違う」と仰っていました。

また、大麻を薬物として接種する人たちは、この大麻草の花(穂)を乾燥させるのだそうです。

神事に用いる大麻は大麻草の茎から取りますから、そもそも栽培方法も違うのです。

なので、仮に興味本位で葉っぱを取って乾燥させて吸ったところで、期待する様な効果は極めて低いのだそうです。

 

 

これが大麻草。初めて実物を見ました。

麻薬として使われる大麻草の葉は、もっとトゲトゲした印象なのだそうです。

 

大麻畑を見学した後、皆さん、斎宮の10分の1模型に興味津々だったので、簡単に説明を行いました。(写真とり忘れた)

 

さて、これで一路皇大神宮へと向かいます。