エンジンがかからないという昭和60年式ソアラ(MZ12、6M‐GEU)
同業者からの依頼。
30年ほど放置していたという。
依頼者の工場で燃料ポンプとフィルタは交換したようだ。
基本点検を行うと、ダイアグノーシスは正常、火花点検はOK、インジェクタの作動音は無し、燃圧は2.2kg/cm2で良好、圧縮圧力も問題ない。
インジェクタが作動していないのが原因ということで、試しにパーツクリーナを吸わせながらクランキングすると、エンジンはかかりアイドリング状態も良好だった。
インジェクタだけの問題であった。
インジェクタの噴射波形を測定したが、波形は正常で制御は正しく行われていた。
念のため、キー音でインジェクタに通電し強制的にONさせたが燃圧に変化は無かった。
(インジェクタが正常であれば燃圧は低下する)
これらのことから、インジェクタが機械的に固着しているようであった。
30年間も放置していたのであれば、原因は燃料ポンプ、フィルタ、インジェクタの可能性が高いのは言うまでもないが、問題は部品があるかどうかである。
調べると、やはりインジェクタはないという。
外して、クリーナーに漬けておくか、もしくは直接バッテリ電圧をかけて作動させるという方法もある。
というのも、このエンジンのインジェクタは外部抵抗付きであり、実際にインジェクタに印加される電圧は9Vくらいである。
よって、9Vで動かなくても12Vをかけてやれば、動く可能性がある。
しかし、印加時間が長ければ、インジェクタが焼ける可能性もある。
とりあえず、今の状態でインジェクタのアース側をアースして強制的に動かすことにした。
(クランキング時の印加時間より、手動の方が印加時間が長いので作動する可能性が高い)
数十回試してみて作動音を確認すると、3気筒ほど作動音が聞こえるようになったのである。
クランキングするとエンジンがかかった。
もちろん、ラフアイドル状態。
もしかすると、インジェクタを交換せずによくなるかもしれないので、依頼者と相談をし、後の作業は依頼者の工場で行うことにした。
どういった、作業かというと、まずはインジェクタを外してクリーナーに漬けておく。
その後、外部抵抗経由で電源を経由し、インジェクタを強制的に作動させる。
それでも、作動しないようであれば、直接電源を供給し作動させる。
注意:この方法はインジェクタが壊れる可能性があります。
作動しなければ、どうにかしてインジェクタを探す。
作動すれば、燃料タンク内にインジェクタクリーナを入れて乗ってみる。
それにしても昔の車のエンジンはシンプルでいいなぁ。
あっちこっちを紹介。
今は無くなった?TEMS(トヨタ電子制御サスペンション)
オートドライブの車速設定がアナログ(笑)
走行キロ 101808km