旧・沼町のだんじり | 板原村のだんじり会館

板原村のだんじり会館

だんじり時々、旨いもの♪
2006年にヤフーブログを開設、これまでの多くの人との出会いに感謝。
「館長いつも見てるよ!」と声をかけてくださる方々が各方面にいて、そういうのがブログを継続して頑張れる源なのです。

どうぞご贔屓に。
ごゆっくりどうぞ。

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先日、知り合いで沼町のHさんからお電話をいただきました。
「ウチの先代、写真撮ってるんですけど、よかったらどうですか~?」

突然の嬉しい知らせにビックリしましたが、「喜んで!」と即答♪

場所は、ご存知“岸和田だんじり会館”メインホール。
仕事も終わり、ささっと着替えて岸和田だんじり会館へ直行(汗)。

Hさんに聞くところによりますと、沼町では「沼町850年」の歴史について、
「町史(仮)」と「地車史(仮)」の発刊を予定しているとのこと。
その一環として、左ヱ門の銘地車として親しまれた“先代”の撮影をされているところでした。

普段、入場料を支払えばいつでも拝見できる沼町先代地車なのですが、このときばかりは、
化粧はもちろん、金網・梯子・水桶に至るまで全て取り外し、まさに裸の状態。
館内は少々露光不足で撮影には困りましたが、なんとかその名作を納めることができました♪

では、そんな中からいくつかをご覧ください。。。
(撮影・紹介は全て許可を頂いてます。)



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▲まずは正面姿見から。
 どっしりとした風格、これぞ明治のだんじり!!
 


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▲主屋根枡合い正面「義経都落ち」です。
 上段もいいですね~。鳥か何か(?)に乗る天女のような感じでしょうか・・・。



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▲続いて右の平。
 (上段)牛若丸 弁慶五条大橋の出会い
 (下段)敦盛呼び戻す熊谷次郎直実
 注目すべきは、枡合い天井、龍が睨みを利かせてます。



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▲このだんじりを拝むとき、いつも見入ってしまう組物がコレ。
 正面左右、芯の列4段目に羽を広げた鳥(何という鳥かな?)がいます。
 組物一つ一つも大きく、それでいて繊細。正面から見ると、この2匹の鳥がよく目立ちます。



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▲網ナシ最高~!!
 大連子下の紐の部分は、透かし彫りになっています。これもまたこだわりの部分です。



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▲正面土呂幕「平景清の錣引き」
 着物の細部までよう彫られてます。。。



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▲腰周り右の平。
 「勾欄」に注目してください!「勾欄合」がコンパクトに思えましたが、それもそのはず!
 よく見ると、「束」の本数が3つもあるのです!!(一般的な岸和田型地車では平側に2本)
 なので、勾欄合の枚数も平だけで8枚もあり、その分コンパクトになるのでした。。。


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▲土呂幕平右「薩摩守忠度と岡部六弥太の血戦」。



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▲えぇなぁ~。。。



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▲続いて反対側(左平)です。
 こちらには、あの有名な彫刻があります。



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▲多くの本や写真集などでも取り上げられてます左ヱ門の傑作「巴御前」。
 ・・・さすがですね。



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▲アップで♪
 ため息がでます。。。



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▲松良もいいですよ~♪
 こちらは向かって右の「朽木隠れ」を、右の平方向から撮りました。
 それから上部をよく見ると、縁葛にかけて少し寸法アップされてるのがわかります。。。



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▲連子部分も、決して手を抜かない繊細な仕事。。。



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▲特徴的な後屋根~見送り周りです。
 木鼻なし、大きな台輪、そして大きな隅出すと横槌・・・。
 組物最下段の下には、「皿斗(組物を受ける皿)」がない細工でした。
 


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▲見送りは、ご存知「一の谷の合戦」です。



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▲大脇~脇障子~置物、これら全てに躍動感があります。



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▲「一の谷ひよどり越え」を語る上では、決して外すことのできないのがこの人。。。
 大脇右平面の“畠山重忠”!!
 かっけぇ~~~~♪



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▲「竹の節」は、古風な“親子獅子”。
 そのすぐ上まで、特大の「隅出す」が迫り出してます。。。



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▲幟台は拳状のものでした。
 台木には梃子穴の左右に梅鉢紋を発見。



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▲見送り下の半松良部分です。
 トリッキーな腰組の細工に、しばらく見とれていました。
 


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▲台木・芯棒の穴周りです。
 「波に千鳥」、こちらは晩年に付け足されたものだと思います。。。



 ◆旧・沼町の地車◆

  製作:明治34年(1901年)新調
     (沼町で100年間曳行のあと平成13年、岸和田だんじり会館へ)

  大工:櫻井新六(大新)
  彫師:櫻井義國

  主な彫刻
  ・主屋根枡合:正面「義経都落ち」
   平右(上段)「牛若丸 弁慶五条大橋の出会い」・(下段)「敦盛呼び戻す熊谷次郎直実」
   平左(上段)「義経八艘飛び」・(下段)「勧進帳」

  ・松良:左「後醍醐天皇笠置落ち」、左「頼朝朽の木隠れ」

  ・土呂幕:正面「平景清の錣引き」
       平右「薩摩守忠度と岡部六弥太の血戦」
       平左「巴御前の勇姿」
  
  ・見送り「一ノ谷の合戦」




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▲昭和53年8月、筒井和男師の銘が入った番持ち。



沼町のHさん、その節はありがとうございました。
これからの段取りが、いろいろ大変だと思いますが、どうか頑張ってくださいね。
ぜひとも立派な資料ができますことを、お祈りしてます。

それにしても・・・
この100年以上もの年月を経過した地車、この雰囲気って、例えようのない魅力ですね。。
平成の新調地車に一歩も劣らない細工に、左ヱ門の細工に、ほんと恐れ入りました。

写した枚数およそ300枚(汗)。。。
帰宅してから、どっと疲れを感じたのは気のせいでしょうか(汗)。。。

ではまた。。