板垣正寿編 その7 | ラクガキな青春

ラクガキな青春

楽画鬼(ラクガキ)死すとも自由は死せず
この言葉を残して、楽画鬼はまた神秘の旅に出た!愉快痛快スピリットジャーニー。
渾身のアート魂を世界に投げつけてやれ!

2021年1月26日 美咲町

 

 豊かさって一体どういうことでしょうか?果たして老後により良い施設で何不自由なく快適に過ごすことなのでしょうか?


 私はそうは思いません。毎日苦労しながらも、仲間や家族といった人たちと共に何かをしたりしながら、今日はダメだったね、今日は思ったより良く進んだね、とかいうことを毎日分かち合って生きていること。そういったことが、充実していて生きがいのある豊かな暮らしなんじゃないでしょうか?


 子育てもそうです。生まれてからひとり立ちするまで沢山手をかけるから愛情が育まれてゆくわけですよね。うちもそうです。長男をまだ暗いうちにたたき起こして小学校に送り出し、次男がやっとおむつ取れた、一人でウンコできるようになった、歯も磨けるようになった(ギリギリ)、と言いながら横で三男のおむつを替えて・・・などなど家事と仕事を両立する毎日。部屋はいくら言っても散らかりっぱなし。やれやれこれいつまで続くんだ、と思いながらも、これも今だけなんだろうな、とも思います。気づいたら、親の顔見てもプイってなるんだろうなあ、なんて。そこはさみしいですけどね。


 昔は大所帯で米作りや子育てを自然にやっていたのでしょうね。大勢いた分食べるのにも苦労したのでしょう。機械もなく牛を使って田を耕し、草刈りは手鎌でやっていた。今では信じられないほどの仕事量ですよね。


 今はどうでしょうか?子供は学校に行き、親は会社に行き、祖父母は施設へ。家族が顔を合わせる暇もない。もちろん、昔のような大所帯だからこその問題は様々にあったのだと思いますが。


 では、今後どのような形になってゆくのでしょうか?そこで私の頭にふっと湧いて出た言葉が、「地域が家族」という言葉です。 「この土地、この地球が家族」 という言葉です。


 目の前の田んぼというフィールドから、都市というフィールドに変り、そしてその後、情報化社会に突入してフィールドは世界という規模になった。そして現在、世界中がSDGsという持続可能な17個の開発目標を掲げ、それぞれの国々が同じ目標を持つようになって、フィールドは地球という規模になった。この流れはたった百数十年という時間です。


 地球規模と言われてもピンと来ないかもしれませんが、私たちが立っているこの土地が地球の一部です。空を見上げれば宇宙の一部が見渡せます。みんながそれだけは共有している事実です。子供も大人も高齢者も。健常者も障がい者も。肌の色が違くても。ジェンダーが違くても。ニートも引きこもりも。貧乏人も金持ちも。そして、地元民も移住者も。


 そんな多種多様な人たちが、交流し、分かち合いながらそれぞれ自立すること、ちゃんと想像力を働かせて毎日生活することが大事です。学校も老人施設も、会社も役場も、ただ管理し管理されるものではなく、何か新しい価値をつくり出してゆく、持続可能なものに変わって行くべきなのです。


 一人ひとりが健康と生活力をできるだけ自分自身で維持できる。できない人がいれば助け合う。そういう生活環境の在り方をみんなで考え、みんなで整えてゆくことが大事です。それが、私の言う 「生活環境の改善」 です。

2021年1月26日美咲町 板垣正寿メモ
 

 

KINOPI画伯、油彩画 『きのぴ家族』、2020年

 

つづく