粟津美穂
△ソーシャルワーカー・在アメリカ▽

☆アメリカ通信《最終回》
四季報「はーもにい」2010年12月15日刊 p.2~3
発行所:家庭養護促進協会 神戸事務所

以下は抜粋です。原文は 上記から買って読んでください。

★年長の子どもの養子縁組
 
アメリカでは 約十三万人の被虐待児たちが養子縁組されるのを待っている。
そのうちの3割が13~19歳。養育の難しい思春期の里子が大人になる準備を手助けするのは、里親たちの役割だ。年長の里子を養子として受け入れる貴重な里親を募集するために、たくさんのプログラム
が展開されている。
 マディソン(11歳の女子)は八歳の時すでに、四つの親族のあいだを転々として暮らしていた。アルコール依存症の母親は、マディソンを実父による性虐待から守ることができなかった。マディソンは行動障害の治療を受けるためにグループ施設に保護された。
その後 自殺未遂で病院に運ばれた。彼女はグループ施設に送り返された。

 マディソンのケースが私の手もとに届いた時、この子は十一歳になっていた。私は養子縁組専門家と共に仕事を進めた。
里子は十二歳を過ぎると、養子縁組が一段と難しくなる。
実親の親権を剥奪するための書類を裁判所に提出した後、いろいろな方法を使って、マディソンの養子縁組の親探しに乗り出した。
まず、「トラウマと愛着障害を持つ聡明な15歳の女の子を受け入れてくれる、経験豊かな養子縁組親を探しています。」という内容のプロフィールを書き、顔写真を入れて。ノースウェスト・アダプション・エクスチェンジ (NWAE)など 米国ほぽ全域に情報網を持つホームページに紹介した。養子を受け
入れる準備をしている里親たちは、ネット上で、何百人という子どもたちのプロフィールを見ることができる仕組みだ。
 私はシアトルで毎月催される。アダプション・コンソーシアム(養子縁組連合会)という懇談会を通じて、私立の里親斡旋団体の代表者たちに、マディソンの生い立ちや事情を紹介した。そして私は、マディソンを養子縁組パーティーにも連れ行った。
だが、愛着障害や行動の難しさを詳しく示したマディソンに関する書類を手にした段階で、多くの里親たちは足踏みをした。
 私はマディソンを勇気づけた。「絶対、あきらめちゃだめだよ。いつか必ず、あなたの家族がみつかるから。」普段は傲慢で大胆なマディソンのけなげな努力振りに、私は心を打たれていた。マディソンは「わたしは、都会の裕福な家庭のひとりっ子になりたい」と言った。
 そして、去年のクリスマスを目の前にしたある日、四十代の夫婦が、数時間の道のりを運転して マディソンに会いに来たのだ。この里親は、マディソンより年上の男の子三人(実子)と幼稚園児の女の子の里子を育てていた。
マディソンは、今年の二月、この里親の家に引っ越した。が、急な転校や、環境の違いに、彼女はすぐには対応できなかった。心待ちにしていた養子縁組を目前にして、実母に対する罪の意識など、あらゆる感情がマディソンをがんじがらめにした。行動障害のある子どもの養育には経験の豊富な夫婦は、マディソンとの絆を深めるために、養子縁組専門の治療士による、家族治療を受けはじめた。
 そしてこの夏、マディソンの十二歳の誕生日の翌日 養子縁組の儀式が法廷で行われた。

★多様化する里親の役割
 
マディソンを受け入れた里親のように、子どもたちに「永遠の家族」を与える里親の機能は、彼らの数ある役割の中のひとつに過ぎない。実際、この夫婦は、学校の教師をしながら短期間養育の里子を常に育ててきた。
その他にも、「ファミリー・トゥー・ファミリー」という月に一度の会議を通じて、里親の募集にもはげんでいる。