一度咳をすると、なかなか止まらず顔が真っ赤になる。夜も突発性の咳で寝付けない。それが何週も続く。
 こういった場合、喘息とか普通の「風邪」とかいろいろとありますが、百日咳の可能性もあります。

 ワクチンで百日咳の流行はある程度抑えられていますが、実は影で流行っています。咳が長引く患者さんで百日咳の抗体価を測定してみると、上昇してることがあるのです。お子さんでも大人でも同様です。
 板橋区感染症定点観測では百日咳の報告は余りありませんが、報告されていないだけです(私のところは定点ではないので、見つけて報告しても集計されません)。
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/yotai/kansenkuteiten3/ (板橋区感染症定点観測)

 百日咳ワクチン(日本では三種混合ワクチン)を打っていても数年経つと、効果が薄くなり、百日咳にかかってしまうのです。また一度感染しても再感染する場合があります。
 赤ちゃんが百日咳に感染した場合、絶え間なく続く咳(スタッカート)に引き続き、息を吸うときに笛を吹くような音を立てます(フープ)。この繰り返しをレプリーゼといい、赤ちゃんの百日咳には特徴的です。しかし、大人やワクチン接種後、それに再感染の場合には、レプリーゼが目立たない場合があり、見過ごされていることが多いです。

 大人であれば「長引くいやな咳」ですむことが多いですが、赤ちゃんにかかると事情は違います。生後6ヶ月以内、特に3ヶ月以内に罹ると命にかかわります。

 赤ちゃんの場合、一般的にはお母さんからの免疫(移行抗体)があるので、生後6ヶ月くらいまでは感染しにくいです。しかし百日咳では再感染例からも明らかなように、移行抗体が充分ではなく赤ちゃんでも感染することがあります。
 赤ちゃんが感染する場合、感染源のほとんどが父親・母親の「長引くいやな咳(百日咳)」のことが多いです。

 ワクチンの問題については、次回書きます。

百日咳についての一般的なことは、下の二つをご覧ください。

http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_36.html
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/infection_inf/whoop1.htm

 外国の例ですが、百日咳のビデオを紹介します。一度聞いたら忘れられない、特徴的な咳です。
http://www.vaccineinformation.org/video/pertussis.asp