このブログで、お箸をつくるという記事を書いたことがありました。
「枝箸進化論」
https://ameblo.jp/ita-33/entry-11171183928.html
思えば、最初はマジものの「枝」からスタートして、徐々に道具を使ったり工夫したり。
過去の記事ではそこまで書いていないんですが、最後は漆にたどり着いて
おりました。なぜ漆だったかというと…。
「食の安全」っていうじゃないですか。じゃあ、食器の安全性はどうなんだ!と。
さんざんオーガニックにこだわって、盛り付けるのはウレタン塗装?それじゃいかんよね、と。
ウソ、です。
ぜんぜん、そんな熱い思いはなく、ウレタン塗装嫌いでもなく(今でも他意はございません)。
ただただ、箸がカビてしまうので悩んで、「やっぱ日本古来の漆じゃね?」と、やってみた。
そんな思いつきと気まぐれが、漆とのお付き合いの始まりでした。
ただ、周囲に漆を扱っている人なんて、まず、いないわけです。さらに、どこに売っているかわからない。
調べてみたら、東急ハンズに売っているらしい。じゃ、買ってみますかと。親には反対されましたね~。
「あんた、肌が弱いのに、なんで漆?」って。でも、思いついたら止まらないんです。
本を調べながら、箸に擦り込めばいいらしいってわかって、やってみて、楽しんだ。
そして、使用するうちに意外と早く漆が剥げてきて、塗り直すのも面倒になって、で、しばらく放置。
ポピュラーな「飽きっぽい人」「熱しやすく冷めやすい人」やったわけです。
しかし幸いだったのは、能登の輪島塗り、小浜の若狭塗りなどの取材をさせていただいたこと。
自分のやり方のミス、考えとワキの甘さに気づきました。で、最近になって、しこしこと
やり直しをしてみてるってわけです。
ちなみに今回、塗りをしようと思ったのは、息子の普段づかいの木のうつわが摩耗しまくってきたから。
職人さん手作りのひと品、漆でどうにかなるのでは?と(浅知恵で)思ったわけです。
がらけーの写真だけに、画質は悪いですが、色は完全に白くさめているのがわかります。
また、フォークの痕跡もチラホラ、一番ダメージを受ける吸い口は、傷んでいました。
左はまだ未修正。右は、紙やすりで240→400→800と細かく擦って、テレピンオイルで1回
漆で下地をしたもの。
今回は、ちゃんと本読みました。だいぶコピーもとりました。何度も何度も読み直しました。
そして、、、ちょっと省略しましたっっっっ。すみません!
そんなちゃらんぽらんDIYでも、下地は濃度薄めから3回、摺り漆を2回。
職人さんが残してくれたノミの痕も、かなり際立ちました。
ナラ材だからこそ、かつて水を吸い上げたであろう管が、良い表情出してくれます。
漆がおもしろいのは、室(ムロ)に入れてひと晩寝かせると、ぐっと表情が変わるところ。
特に摺り漆は、カブレさえしなければ、誰にでもできそうな技法。
良く「ビギナー向け」って紹介されています。真偽のほどは定かではないですけど、
個人的には同感です。ムロっていっても、プラスチック衣装ケースの引き出しでも、
お菓子箱でもいい。身の回りのものを有効に使えますしね。
日を追って木地の顔が変化していく=時間の経過が楽しみになる。
もちろん、しくじれば「うわちゃ~!」とうめき、パッチーンと額を叩く。「どうすればいっかな~」と
頭をかく。「やすって少しやり直すか…」とつぶやき、また黙々と仕事をしてみて…の繰り返し。
良い出来ばえだと、「おお、いいじゃん(俺うまくなったわ~)」って思ったり、ね。
自画自賛ができるのも、漆の色味が醸す、えもいわれぬ味わい深さのおかげです。
すべてにおいてうまくいった!とは言いませんが、息子くんのうつわは、ぐっと表情が深くなりました。
(アイシングクッキーは、いつもお世話になっているohanapanさんの逸品。
本当にいつも楽しい・嬉しいお付き合いをありがとうございます)
さて、このうつわが、食いしん坊怪獣くんにとって、佳きクリスマスプレゼントになればいいのですが。
食欲旺盛・食道楽の4歳児は、「僕はカワイイんじゃない、かっこいいんだ!」と
主張を始め、ますます知能レベルアップ、自己主張アップといった今日このごろでは
ありますが、さて?
おらのポンポンを見ろ~!もっと飯食わせ~!!(BY 腹ぺこビースト)
漆なんぞ買う前に、エンゲル係数を下げなければならない我が家です。