断罪された悪役令嬢は、元凶の二人の娘として生まれ変わったので、両親の罪を暴く【書籍化題名『悪役令嬢は、婚約破棄してきた王子の娘に転生する〜氷の貴公子と契約婚約して「ざまぁ」する筈なのに、なぜか溺愛されています!?』】
あらすじ
虐げられてきた王女セシリアは、あるとき前世を思い出す。
それは、婚約破棄された公爵令嬢だった。
前世の自分は、真実の愛とやらで結ばれた二人の間を引き裂く悪役として、冤罪をかけられ殺されていた。
しかも、元凶の二人の娘として生まれ変わったのだ。
かつての記憶を取り戻したセシリアは、前世の自分の冤罪を晴らし、現在の両親の罪を暴くと誓う。
そのために前世の義弟と手を組むが、彼はかつての記憶とは違っていて……
グッときたポイント
以下、ネタバレを含みます。
セシリアが毒親に虐げられている描写は、本当に可哀想でした。でも自分の前世が、両親に殺害されたかもしれないアデライト公爵令嬢だったと気付いた時から物語が動きます。
俯いてメイドからも利用されるばかりだったセシリアが毅然と立ち向かい、周りの見る目も変わってきます。
そして、前世の義弟エルヴィスと出会い、共闘。
セシリアは、アデライトとして義弟を守り慈しむ気持ちと、セシリアとして男性への愛情を感じる中で揺れ動きます。
エルヴィスも、セシリアにアデライトの面影を見つつ、婚約者としてセシリアを愛し始めます。
ここで重要なのが、セシリアが前世を上手いこと飲み込んで、自分の糧にしていること!
よくある前世の自分の方が強く出てしまい、今生の人格がまるっきり変わってしまうような描き方をされていないのがとても良かったです。
〜本文抜粋〜
セシリア「……あれを未来の義父と呼ばなくてはならないこと、後悔なさっていませんか」
エルヴィス「むしろ、あれが実の父であるあなたに同情を禁じ得ませんね」
エルヴィス「もしや、ある人物の生まれ変わりか、あるいは何かの拍子に記憶が入り込んだのか……疑問に思いましたが、あなたと共に過ごしていくうちに、どうでもよくなっていきました。私は他の誰かではなく、セシリアという一人の女性を愛したのです」
エルヴィスの加速して行く溺愛と、二人の共闘しての対応やセリフがとても秀逸で、感心するところが多いです。
エルヴィスの治めているローズブレイド公爵家の執事達の気づきや見守りも温かくて、素敵でした。
国王や王太子のクズさ、それに黒幕だった人の不気味さ等、人間の弱い面や不可思議な面も納得の行く内容でした!