
ITSP:Internet Telephony Service Provider には、アジルネットワークスのagilephone3.0
インターネットへの回線は、Bフレッツのベーシック。
IP PBXには、Debian GNU Linux 5.0 lenny上で、Asterisk 1.4.21.2
IP電話は、Snom社製Snom300と無線IP電話としてアイコム社製VP-71を使いました。
また、独立したIP電話ではなく、PC上にインストールするプログラムとしてのソフトフォンとして、CounterPATH社のX-lite(無料版)も併用しています。
※ソフトウェアフォンを使えばPC上のソフトウェアなので、音声の入出力に関して有線のヘッドセットや、無線(ブルートゥース)のヘッドセット、USB接続のハンドセット等、自由に選択が可能です。
スイッチは、PoE(Power over Ether)つまりLANケーブルから給電するタイプのスイッチを使っています。
IP電話や無線LANのAP(アクセスポイント)等が、このPoE(IEEE802.3af)に対応していると、ACアダプター等がいらなくなりますので、とてもすっきりとしたケーブルの取り回しになります。
また、IP電話に2つのLAN接続の口がついている製品ですと、PC→IP電話→スイッチという数珠つなぎでLANへ接続します。このやり方の利点は、必要となるスイッチのポート数が増えない(IP電話とPCで一つとカウントできる)のと、PCからIP PBXへ向かう経路(up stream)についてQoS(優先制御)が働くという点です。廉価なIP電話の場合にはLAN接続口が一つしかないので、PCとは別にLANに接続する必要があります。
普通の使い方をしていて100MbpsもしくはギガビットでLANに接続していれば、IP電話等で使う音声パケットを優先的に扱うQoSは必要ありませんが、もし音声の品質が気になるようであれば、QoS機能が搭載されているインテリジェントスイッチもしくはスマートスイッチをお使いください。
さて、ハードウェアの接続に関しては非常にシンプルですが、通信プロトコルについては注意しないと不思議な事(呼び出し音がなるけど通話ができない、こちらの声は届いているみたいだけど、相手の声が聞こえない…等)が、いろいろ起きます。
これはひとえにIP電話のシステムで標準的に使われるSIPというプロトコルに原因があります。
SIPというプロトコルは音声だけでなく、実は汎用的に使える素晴らしいプロトコルなのですが、SIPそのものでは通信の制御しか行わず、音声データはRTPという別のプロトコルを使うため(ちょっとFTPと似ている)、慣れないとルータ・ファイアーウォールの設定で苦労します。
※プロトコルそのものの解説はここでは割愛します。
ポイントは、『SIPはファイアーウォールを越えるが結構大変』という事です。
もちろん、プロトコルの詳細を理解していて、ファイアーウォールの構造・動作・設定がわかっていればちゃんと動きますが、やってみると結構大変で慣れていないとはまりどころが満載です。
そこで私のお勧めは、
『ファイアーウォールを越えて音声データをやり取りするときは、SIPではなくIAX2を使う』
というものです。
IAX2とは、オープンソースでありIP PBXではデファクトスタンダードであるAsteriskというソフトウェアでサポートされているプロトコルで、特別な事をしなくても簡単にファイアーウォールを越えて通信が出来るようになっています。
今回の例のようなシステムで、社内のLAN上にあるIP PBXに社外から接続するような使い方をしなければ、ファイアーウォールの設定は何も変えなくても、ITSP側にあるAsteriskサーバへ接続することが可能となります。

※この場合、PCにインストールするソフトフォンや、固定IP電話はIAX2をサポートしている必要があります。
※ソフトウェアフォンであれば、Zoiperがお勧めです(私も使っています)。
それでは、次回はIP電話システムの運用や、現場でどういう使い方をしているのか?
等々を書いてみたいと思っています。
see you next!