瑕疵担保責任 ネットオークション | らすかるのブログ

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ネットオークションでも瑕疵担保責任は負わされる!!

以下の事件を見てもらいたい

本件は、インターネットオークションで落札・購入した中古の普通乗用自動車に、出品者がオークションサイトに記載していなかった損傷があった事案である。判決は、それ以外の損傷の存在は明記されていて、かつ価格も低廉なこと等からすれば、本件中古車には、記載された損傷以外にも修理を要する個所が存在することが予想される、この予想の範囲内の損傷については買い主が自ら修理することが予定されているとした。しかし、自動車の走行それ自体に危険をもたらすガソリンタンクのガソリン漏れについては、民法570条の「隠レタル瑕疵」に当たるとして、その修理費用相当額の損害賠償請求を認容した。(東京地方裁判所平成16年4月15日判決)

X(原告):買い主・落札者(消費者)
Y(被告):売り主・出品者(消費者か事業者か不明)

 X(オークション初心者)は、インターネットオークション上で、Yが本件中古車(アルファロメオ164)を開始価格8000円で出品しているのを見つけ、平成15年7月11日、6万4000円で落札した。購入に際し落札代金のほか、搬送費用およびオークションシステム料等として5万2845円をXが負担することが予定されていたため、XはYに対し合計11万6845円を支払った。

 Yは本件中古車を出品したオークションのサイトに車両の写真を掲示して、その仕様などを説明していたほか、次のようなコメントを掲載していた(一部略)。

「(1)ご覧のとおりのアルファ164です。右、前バンパー、フェンダーに擦り傷があります。それと、左、前後ドアに薄く10円傷があります。それと、左、リアドアノブにひびが入っています。しかし、エンジン、エアコンなど機関は良好です。気になる電動ファンもキッチリと回りますので大丈夫です。(2)先日バッテリーを付け替えたところです。(3)出品物がお車ですので、それぞれ見方、取り方が違うと思いますので低年式、中古車だということにご理解頂ける方のみ入札してください。ご理解頂けない方の入札、ご遠慮頂けますようお願い致します。(4)今日、昼の暑い時間に乗りましたがエアコンはよく利いておりました。ですが、左リアフェンダーのトランクリッドとの接点の部分に小さな塗装はげを見つけました。」

 しかし搬送されてきた車両には、サイトで指摘された損傷以外に、1.ガソリンタンクのガソリン漏れ、2.センターマフラーの欠落、3.電動ファンのさび、4.ショックアブソーバーが機能しない、5.タイヤの劣化、6.左リアノブが割れて外からドアが開けられない、7.右ウインカーの欠落、8.運転席ドアがきちんと閉まらないといった損傷があった。

判旨の理由

民法570条の「瑕疵」とは、売買の目的物が通常備えるべき性能等を備えていないことをいうが、本件のような中古自動車の売買においては、それまでの使用に伴い損傷などが生じていることが多く、これを修復しないで売却する場合には、修理費用を買い主が負担することを見込んで売買代金が決定されるのが一般的であるから、買い主が修理代金を負担することが見込まれる範囲の損傷などは、これを当該自動車の瑕疵というのは相当でない。

 サイトでは本件損傷については記載されていないが、それ以外の損傷の存在が明らかにされていて、かつ、初心者に対し入札に際して注意を促し、むしろ入札を控えるようにとコメントしていると、本件車両は、オークションでの開始価格が8000円、落札価格が6万4000円にとどまるところ、年式、車両の状態等によって価格が左右されることを考慮しても、その落札価格は極めて低廉なものであったと解されることなどに照らせば、本件車両は、サイトで指摘された損傷以外に修理を要する損傷個所が存在することも予想されたうえで開始価格が設定されて出品され、かつ、サイトの指摘以外の損傷が実際にあったとしても、落札者が自ら修理することを予定して落札されたものであった。

 したがって、本件車両に民法570条の「瑕疵」があるというためには、前記予想ないし予定を超えた損傷が存する場合であることを要するというべきところ、本件損傷2.ないし8.は、これらの損傷によって車両の走行それ自体が不可能であるとも、危険を伴うとも解されないから、Xが自ら修理することを覚悟していて当然というべき範囲内の損傷であると認められ、サイトに記載がなかったとしても、これをもって、本件車両の瑕疵ということはできない。

 しかしながら、本件車両は、低年式の中古車であって、損傷個所が存在するとはいえ、サイトにはその走行自体が不可能であるとか、危険を伴うといった記載はなく、かえって、走行それ自体には問題がないかのような記載がされていたのである。その見地から損傷1.についてみると、ガソリンタンクのガソリン漏れは、その程度が相当のものであったと認められ、そのようなガソリン漏れが生じている自動車では、引火の危険性などからして安全な走行それ自体が困難であることは明らかであるから、そのような状態は、本件車両の落札価額の低廉さ、サイトの記載を考慮しても、前記した予想ないし予定を超える損傷であったといわなければならない。したがって、少なくとも本件損傷1.は、民法570条の「瑕疵」に当たる。(約78万の請求に対し、1.修理のための3万円のみ認容)


私の見解では

サイトに記載されている傷や損傷については、購入者が購入物に傷や損傷があることを知って、または、傷や損傷を修理してを使うことを前提として購入するが、記載されていない事項については、傷や損傷、欠陥がないことを前提として購入してしまうがために、このようなことがあるとトラブルになりやすい。

また、これを読むと、ガソリンタンクに穴があき、がソリンが漏れるという欠陥は出品者が知らなくても、車本来の機能である安全に問題のある欠陥、つまり、そのもの本来が持っている機能に瑕疵があるということに他ならないうえに、まさに「隠れた瑕疵」であるということは否めない。

ネットオークションは人気があるが、

出品物に記載されている内容以外の損傷があることが多いと聞くし、

今回はタイヤの劣化やマフラーの欠損、ドアの開閉の不具合については、車の本来の機能から判断して、瑕疵としていないが、

車の本来の機能であるガソリン漏れについては

いかに安い中古車であろうとも、あってしかるべきものと判断している。

出品する側も気をつけないと、

隠れた瑕疵を理由に、目的不達成での契約の解除、損害賠償請求での裁判にもなるということを知らしめる事件なのかもしれないし

瑕疵担保責任を負わない特約を付けても、出品物の本来の機能までその特約が認められるのか、疑問が残る。

また、このような車の場合、ブレーキなどの安全装置の故障が原因で、事故が発生すれば、出品者にも損害賠償の額が大きく及ぶ可能性があるのも、注意したい。

私もよくネットで、購入するのだが、

実際に購入物が機能しないとなると、

やはり、困るし、相手方も困惑するだろう。

今後、ネットオークションでも、

新築物件の瑕疵担保保険と同様に

瑕疵担保責任保険が出回るだろうと、予想される。