民法570条 瑕疵担保責任 | らすかるのブログ

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売買時の瑕疵担保責任なので、建築請負の場合は別の瑕疵担保責任です。
第570条

(売主の瑕疵担保責任

売買の目的物に隠れた瑕疵 があったときは、第566条 の規定を準用する。ただし、強制競売 の場合は、この限りでない。


第566条

地上権 等がある場合等における売主の担保責任

  1. 売買の目的物が地上権、永小作権地役権留置権 又は質権 の目的である場合において、買主がこれを知らず 、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
  2. 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
  3. 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

570条

(売主の瑕疵担保責任 )の読み替え


売買の目的物に隠れた瑕疵 があったときは、

買主がこれを知らず 、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。

この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。


契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。


ただし、強制競売 の場合は売買の目的物に隠れた瑕疵 があったときでも、契約の解除、損害賠償請求はできない



第572条(担保責任を負わない旨の特約)
売主は、第560条 から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。



1、瑕疵 → 目的物が通常有すべき機能・品質を欠くこと・備えていないこと

         欠陥・キズのこと

     例 家のどこからか雨漏りしていること

        建物にシロアリにおかされている

        建物に誤差を生じ、傾いていること

        建物の敷地に地盤改良をしなければならないくらい軟弱地盤であること

        過去に自殺・殺人事件のあった建物

        敷地に法で指定されたダイオキシンなどの有害物質があり、土の入れ替えが必要なケース

        (ただし、土壌汚染があっても、有害物質が法で指定されていない時期に購入した場合は対   象外)



2、隠れた瑕疵・・・ 取引段階で通常要求される注意を用いても、当該瑕疵を発見することができない場合

  この瑕疵は 物理的な瑕疵 だけでなく「心理的瑕疵」や「法律上の瑕疵」も含む


心理的瑕疵 ・・・自殺 飛び降り 焼死 放火殺人 殺人事件

「売買の目的物に瑕疵があるというのは、その物が通常保有する性質を欠いていること
をいうのであつて、右目的物が家屋である場合、家屋として通常有すべき『住み心地の良
さ』を欠くときもまた、家屋の有体的欠陥の一種としての瑕疵と解するに妨げない。

心理的瑕疵の該当基準として、「建物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景など客観
的な事情に属しない事由をもって瑕疵といいうるためには、単に買主において右事由の存
する家屋の居住を好まぬというだけでは足らず、さらに進んで、それが、通常一般人にお
て右事由があれば『住み心地のよさ』を欠くと感ずることに合理性があると判断される
程度にいたつたものであることを必要とする。」


→孤独死・老衰・病死などの自然死では心理的瑕疵にあたらない

自然死は心理的欠陥にはあたらないが、事故あるいは事件性のある死亡で、一般に心理
的嫌悪感を抱かれ敬遠されるであろうと判断される場合においては、瑕疵と認められることが多い


「賃貸目的物内で自殺しないようにすることも賃借人の善管注意
義務の対象に含まれる。」等として、賃借人(相続人・保証人)の損害賠償責任を認めている。


事件のあった貸室について、「次の賃借人には本件事件を告知する義務はあるが、

その次の賃借人には特段の事情がない限り告知する義務はない。」


「事件のあった貸室について、2年を経過すれば次の賃借人に告知する義務はない。」


法律的瑕疵

 住宅地として購入した土地が都市計画路の境界内にあり、たとえ、住宅を建てたとしてもすぐに取り壊さなければならないときは、その都市計画を知らなかったことに買主に過失がなかったときは「隠れたる瑕疵」にあたり、契約の解除も可能(最判昭和41年4月14日)

宅地造成目的で売買された山林が森林法上の保安林であった場合も契約解除可能(最判昭和56年9月8日)。

契約時の世間の認識など

ただし、土壌汚染があっても、ふっ素が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあると認識されておらず有害物質が法で指定されていないような時期に契約し購入した場合は瑕疵担保責任の対象外となる(最判平22年6月1日)

具体的な当該契約締結当時における当事者の合意や契約の趣旨に照らして、通常又は特に予定されていた品質・性能を欠くものであったかどうか判断する


瑕疵の存在時期 → 瑕疵が契約時に存在することは不要であるとする(大判昭8・1・14)



3、買主は、善意無過失であること

  善意 ・・・知らなかったこと

  無過失・・・過失がない 


 悪意・有過失の場合・・・知っていた、または、書面や登記を見て、明らかに文書いているのにもかかわらず、そこを見ていなかった(目的物そのもの や 文書を見れば知ることができるのに、それを知らんフリするような者には 瑕疵担保責任を追及できない


4、売主の無過失責任

  売主に責任がなくても、(売主が瑕疵の存在を知っていなくても、瑕疵の存在に過失がなくても)

  買主は売主に損害賠償請求できる

  また、目的不達成に限り、契約の解除もできる

  

目的不達成かどうか → 住む目的で買ったら、居住できるかどうかが判断となる

                 居住可能なら損害賠償のみ可

                 居住不可なら損害賠償 OR 契約解除 が可能


5、権利 → 

  契約をした目的を不達成時のみに限り、契約の解除 OR 損害賠償請求

  修補請求や代物請求・f代金減額請求はできるか

  この規定には・・・修補請求権や代物請求権、代金減額請求権はない 

             修補請求・代物請求、代金減額請求は基本的にはできない と考えるべし

  ただし、この規定は強行規定ではなく任意規定であるので、特約で修補請求権や代物請求権、代金減額請求権を盛り込むことができる


売買時と請負時の異なる点

売買時:契約をした目的を不達成時のみに限り、契約の解除 OR 損害賠償請求
請負時:契約解除はできない。

     瑕疵の修補請求権 OR 損害賠償請求権 OR 瑕疵の修補請求権と損害賠償請求権の併用



特に建物の場合

売買なら建物の売買契約を解除できるが、

請負の場合は建物の請負契約を解除することはできない。

やっぱり、請負人の負担を考慮しているものと思われる。


6、瑕疵担保請求権の期間

  買主が、その事実を知ったときから1年以内

  最長: 目的物の引渡しのときから10年以内

  といううことは・・・

  

  目的物の引渡しから10年以内であり、かつ、買主が、その事実を知ったときから1年以内にすること


  だから・・・引渡しの日から9年目にその欠陥を見つけて、10年目に入る前であれば瑕疵担保責任請求できるが、引渡しから10年目に入ってから瑕疵を見つけてももう、請求できない

 

  売主が

  一般人(宅建業者仲介)なら 、契約のときから10年以内であり、かつ、買主が、その事実を知ったときから1年以内  

  

 売主が

 宅建業者なら、建物引渡しの日から2年以上 とすること(最長 建物引渡しの日から10年)

  → 買主に不利な特約は不可 (例 建物引渡しの日から1年は不可) 宅建行法40条

     (注意:建物引渡しの日から2年とするはOK)


消費者契約が有償である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する特約は、無効である(消費者契約法8条)。


新築住宅の売主・請負人は、買主・注文者に引渡したときから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について担保責任を負う。特約により担保責任の期間を20年まで延長できるが、10年未満への短縮はできない(住宅品質確保法94~97条)。


 これも任意規定であるため

 特約で瑕疵担保責任を負わない旨の特約はできる(一般人のみ 宅建業者はこの特約不可)

 ただし、瑕疵を知りながら、売主が買主に告げなかった場合は、売主は損害賠償請求責任を免れない


また、特約で建物引渡しの日から20年とする特約も有効


この規定で

強制競売で購入した物品や建物については、たとえ、そのものに瑕疵(物品が壊れていた・傷がある・雨漏りしている、機能しないなど)があっても、売主(差し押さえされ強制競売にかけられた者)に損害賠償請求や契約の解除はできない


理由:競落人は目的物の瑕疵を覚悟しているから


競売中に差し押さえされた者が放火した場合・・・引渡し裁判中であれば、契約解除可能らしいが、代金全額払ってしまうと不可とのこと


 




判例

記載になかった例


インターネットオークションで落札・購入した中古の普通乗用自動車に、出品者がオークションサイトに記載していなかった損傷があった事例

判決は、それ以外の損傷の存在は明記されていて、かつ価格も低廉なこと等からすれば、本件中古車には、記載された損傷以外にも修理を要する個所が存在することが予想される、この予想の範囲内の損傷については買い主が自ら修理することが予定されているとした。しかし、自動車の走行それ自体に危険をもたらすガソリンタンクのガソリン漏れについては、インターネット上に記載されておらず民法570条の「隠レタル瑕疵」に当たるとして、その修理費用相当額の損害賠償請求を認容した。(東京地方裁判所平成16年4月15日判決)





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