この文章は自社の研修で使用した資料の写しです。
特に問題がない限り、内容は原文のままで掲載します。
なお、図は講義中にホワイトボードに書いたものを再現したものです。
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・認知心理学について
認知心理学とは、知覚・理解・思考・記憶・学習といった認知活動を、情報処理の観点から研究する学問です。もっとも、これを用いたアプローチ方法を考えるのが今回の趣旨であり、この学問自体が議題というわけではありません。
・アナロジー(類推)について
アナロジーとは、物事をそれに似た性質のものに置き換えて理解することです。
この方法は、ごく一般的にOSのGUIなどにも利用されています。例えば、デスクトップ・フォルダ・ファイル・ごみ箱などは、コンピュータの実際の動作を意識させることなくその役割を把握することが出来ます。これも一つのアナロジーです。
このアナロジーを活用して技術を捉えることにより、暗記などで覚えるよりもはるかにスムーズに技術を習得することが出来ます。
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・メンタルモデルについて
メンタルモデルとは、物事の構造や機能に対するイメージのモデルです。学習された内容は、頭の中でメンタルモデルとして形成されます。
このメンタルモデルを意識して他の物事を学習することは、理解を早めると同時にその関連性を把握することにも繋がります。例えば、ファイルを入れる場所はフォルダ、といったような役割・関連性のモデルを頭の中に描くことができます。
しかし、ここで注意が必要なのは、「実際にハードディスク上にフォルダの領域があって、その領域内にファイルを保存したりしている訳ではない」ということです。メンタルモデルはあくまで頭の中で作られたイメージでしかないので、実際の動作との差異が見受けられた場合は都度修正する必要があります。
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・アーキテクチャについて
アーキテクチャとは、構造や設計思想を指す言葉です。対象が実際にどのような原理で動作しているかは、すべてこのアーキテクチャによって決められています。
先程の例に戻りましょう。
ファイルやフォルダといったデータは、ハードディスク上では管理領域とデータ領域に分けて保存されています。管理領域にはファイル・フォルダのサイズ、実際のデータ領域での位置、アクセス権などの情報が格納されています。また、データ領域には実際のデータが格納されています。OSは管理領域を元に、実際のデータを読み出す訳です。
このように、見かけの動作と実際の動作は異なる場合があるので、メンタルモデルをアーキテクチャに近づけていくことが求められます。
また、アーキテクチャの本質が変化することはそうそうない為、覚えたことが無駄になることもそうそうないといえます。
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つづく