仕組みが正しく働くときが健康な状態なのですから、
病気を治すのではなく、
変形が治ったら黙っていても健康になっていくのです。
たとえば、腰が痛い人を検査すると、必ずどちらかが突っ張っています。
それを左右、同じ作用になるように調整すると、背骨もまっすぐになるし、
神経、血管、筋肉、関節、骨も左右が対称性になってきて仕組みが正しい格好に戻ります。
身心相(しんそう)は、健康の原理原則、医療が探求し続ける健康への
問いに対する答えがここにあると思っています。
また、からだの作用を考える上で「重力」の問題を抜きには
考えることができません。
重力が働くから、からだにとっていろんな問題が起こってくるのです。
今まで「からだの不調に重力が関連するのではないか」ということを言っている人は
います。しかし現代医学に重力の問題と身体の変形(ゆがみ)について解明された
ものはなく、また手足の動きとリンクさせさまざまな疾病の
要因になっているという考え方はありません。
「経っている」ということを考えてみても、みんな同じように
立っているように思っていますが、そうではなくて、
重心の比重が左右のどちらかに偏っています。
たとえば黙って立っているときなど、無意識に片方の足に体重をのせ
「ヤスメ」の姿勢をしています。
重力下における偏った動きは、中心軸を狂わせます。
重力は均等にかかっているのですが、荷物を持つ方と持たない方とで
違ってきますから偏ってきます。
これが宇宙空間だったら、重力はかからないのですから、
ものを持つことは重心軸とは関係がないはずです。
重力がある空間でものを持つ持ち方が片側的だからよけい偏ってしまうのです。
このように、左右が対称性の仕組み、システム、構造であっても、
使い方が違うと比重が違ってきます。。
すると、自然に筋の動作も違ってきます。
それは、重力が大きな原因となって起こる現象です。
いくら重たいものを持とうが片側的に使おうが、
重力がなかったら変形は起こらないはずです。
荷物を持ったり、作業をしたり、私たちはそれを何十年も繰り返してくるのですから、
からだはいつしか前かがみになって、傾いてきます。
これはみな重力のせいなのです。
重力がなかったら重かろうが筋の作用と重心軸には
ぜんぜん関係がありません。
私たちは重力がある世界に住んでいるのですから、
からだだって押されたらペシャンコになるにきまっています。
そのペシャンコになることに一生懸命からだは抵抗して、
30年、50年、60年と使うことで、
その間にじわじわと偏ってくるのです。
林 宗駛 著 「形の医学」より引用
変形の概念
http://shinso-j.com/shinso2.html