やがて、糸口が見つかると、形と動きと言うものが
ひとつのセットになって見えてきたのです。
この作業を何年も何年も、毎日毎日、患者さんを待ちながら続けて、
患者さんの「からだ」と「動き」と「形」と「症状」とを選別して言ったのです。
そして、膨大な資料の分析から私に見えてきたものは、
左右が一緒になればからだは真っ直ぐになり、デコボコになっていた形が治ってくる。
そして、形が左右対称になると、痛みが消える。
そればかりか、肉体的にも精神的にも健康を取り戻す、ということが見えてきたのです。
さて、そこまでは良い。
ではどうやってそれを体系化すればいいのか、思いあぐねていました。
しかし、面白いもので「求めよ、さらば与えられん」という言葉通り、
その答えを生きたからだが教えてくれたのです。
死体の解剖学はあっても、生きたからだの異常という変形の解剖学はありません。
そのことに気がついて、患者さんたちのデータを分析しているうちに、
ヒントになるものがポッと浮かび、そのことを解析する方法がチラチラと
見つかってくるのです。
それをだんだんと自分で組み立てていくと、パズルの全容があきらかになってくるのです。
「なるほど、これで変形(ゆがみ)は治るはずだ」と施法を確立し、
その施法を患者さんに行うと、からだがパッと変わったのです。
このときに筋骨格系の左右が対称になる構造を確認し「ああ、こういうことなんだ」
と分かったのです。
その発見を「この人のケースはこうだ」「この人のケースは・・・」と
次から次にやっていくと、核心が持ててくるのです。
この法則を発見したときは、今までの西洋医療や民間療法のどんな治療にも
ないことを発見したのですから、震えるどころか髪の毛が
総立ちになるような感動を覚えたものです。
そのうちに仲間たちに検査をしてみせると、
仲間たちも震えだすのです。
目の前で検査が出来、治療後の結果が目に見える形で突きつけられるのですから
治療の現場にいる人間なら震えだすのも当然です。
その原理原則が確信できてからは、治療室に入ってきた患者さんの姿勢や姿、
形を見れば、その患者さんが何を訴えたいのかが見えるようになったのです。
そして、「この患者さんの身体に対してはこうすればフィードバック機構が働いて
症状がおさまっていく」「この患者さんはこの変形が原因で
うまくフィードバック機構が伝達できていない」
とみんな見えるのです。
このように、筋の機能を左右対称性にすることで健康なからだを維持することは
できます。もちろん老化は戻すことは出来ませんが、同じ老化をしていくからだでも
バランスを保っているからだは平均になった綺麗な形で老化していくはずです。
「何を治すのですか?」と良く聞かれますが
「からだの形を治す」、答えはただ、それだけです。
身心相(しんそう)の施法は、筋骨格系の左右対称性構造の仕組みが
よく分かっていますから、
患者さんに非常に少ない動作をさせることによって、
的確な刺激を与えて治します。
からだが治れば病気も、症状も治る。
それは正しい形、正しい仕組みにあるのです。
林 宗駛 著 「形の医学」より引用
検査と手法
http://shinso-j.com/shinso3.html