目的とミッションを明らかにすることの大切さ | それもまた良し

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関西のとあるベンチャーで働くSEのブログ。

日々のインプットから、アウトプットを定期的に行うことが目標です。主に組織論やドラッカーの話題が中心ですが、タイトルにもあるように「松下幸之助氏」のような互助の精神を持ち、社会人として成長出来る事が最大の目標です。

何のために働くのか、或いはなぜ働くのか。
こういった本は恐らく、いつの世も売れるものだと思う。

例えばSBIの北尾さんや、京セラの稲盛さんなど。
それを考えることは、とても大切であり、かつ大変なことだ。


しかしもっと大切であり、大変なことは、それを人に伝えることではないか。
プロジェクトマネジメントの醍醐味も、すなわちここに集約されていると思う。

マズローの欲求に即して言えば、人間は誰しも「自己実現の欲求」を持ち、その欲望に到達するまでには様々な欲求が改善されなければいけないと説いている。
言い換えれば、仕事を通じた自己実現を図りたいと言える人間は稀であり、稀有であると言って良い。

衣食住のために働く人間もいる。
安全のために働く人間もいる。

プロジェクトに参加する人間が、全て崇高な意識を持ち、高い志を持っているとは限らない。
だからこそ、彼らを結び付ける「糸」が絶対に欠かせない。



ドラッカーは、それをこのように定義している。


「事業の目的とミッションについての明確な定義だけが、現実的な目標を可能とする」
「ほとんど常に、事業の目的とミッションを検討していないことが失敗と挫折の最大の原因である」


つまりプロジェクトの目的とミッションを明らかにすること、定義すること―要求定義やRFI、RFPなどの形式だけでなく、簡単で解り易い言葉にすることが大切だ、と言っている。

それをドラッカーは、端的に表現している。


「われわれの事業は、何か」


言い換えれば、われわれのプロジェクトは何か、ということだ。

誰のためにしているのか、だとか、どのような利益をもたらすのか、ということではない。
プロジェクトマネージャーは何を錦の御旗にするのか、ということでもない。


何を事業とするのか。その根本、本質を明らかにしなければいけないとドラッカーは解く。
そして、その事業とは何か、プロジェクトとは何か、という答えを知っているのは、大抵は当事者ではなく、顧客である。

顧客はお金を払う代わりに、対価として顧客の価値、魅力、欲求、現実を満たす。
すなわち顧客は「われわれの事業」に魅力を感じるからこそ、お金を支払うのである。



考えなければいけないのは、顧客に施す「我々にとっての労働」こそ、われわれにとっての事業である、という本質であり、すなわちプロジェクトマネジメントが見なければいけない点として、部下の労働はわれわれにとっての事業とズレが生じていないか、という点であろう。

ドラッカーは言う。


「「われわれの事業は何か」という問いに答えるためには、顧客とその現実、状況、行動、価値観から出発しなければいけない」


つまり、全ては顧客が知っている、知らぬは自分ばかりなり、という話である。
プロジェクトマネージャーは常に考えなければいけないのではないだろうか?

顧客は、なぜ我々を選んでくれたのか?
我々は、どうすれば顧客にその選んでくれた魅力を伝えられるだろうか?


簡単である。
そこに目的とミッションがある。

今まで、それの元に成果を出してきた。
これから、それの元に成果を出すべきなのだ。