匿名じゃないから・・・

 

文春オンラインの記事に、 「許せないから」西武・源田の妻で元乃木坂46の衛藤美彩が誹謗中傷被害 “犯人”はチームメートの妻 てのがありました。

 

某プロ野球球団の選手の奥様のSNSに誹謗中傷のDMが頻繁に届くようになり、裁判所に 発信者情報開示請求 を行い身元を割り出したところ、誹謗中傷を行っていたのは同じチームの選手の奥様だったというドラマのような事案が発生したようです。

 

記事の内容や真偽については本ブログでは言及しませんが、記事中にもある 発信者情報開示請求 とそれに伴う ネットに接続する際に漏れている情報 については、広く一般の方にも知っていただいたほうが良いと思い取り上げることにしました。

 

まず、皆様がネットに接続する際に漏れている情報についてですが、具体的には以下のような情報が基本的にダダ漏れです。

  • 利用中のプロバイダ
  • IPアドレス
  • リモートホスト
  • 利用中のOS
  • 利用中のブラウザ
  • Javascriptが有効か否か
  • 画面の解像度
  • 直前にいたサイト
  • User Agent
これを確認するには、 確認くん+ というサイトにアクセスしてみるといいでしょう。アクセスに際してはご自身の責とご判断にてお願いします。アクセスすると以下のような画面が表示されます。
これが中の人がアクセスした際の情報です。
IPアドレスやOS、ブラウザなどの情報が表示されています。
 
この内容がご利用中のプロバイダやSNSにアクセスした際に記録されているとお考えください。
 
特にIPアドレスについては、電話番号と同じでネットにアクセスする際には世界でたった1つ、あなたにだけ割り当てられた番号となります。その番号によってあなたが特定されることがあることをご理解ください。
 
次に発信者情報開示請求についてですが、これは プロバイダ責任制限法 という法律の中に定められた権利です。今回の件では、被害者のSNSにDMを送った人のIPアドレスをコンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに教えて貰う権利ということになります。
 
このIPアドレスを特定することで、加害者が利用しているアクセスプロバイダ側から加害者を特定して貰うことが可能となります。
 
ただ、ここで問題なのは特定可能なのはあくまでもIPアドレスとその主たる契約者だけで、実際にアクセスしていたのが誰なのかまでは特定できません。
 
例えば、ある家庭で利用されているIPアドレスであることは特定できますが、その家庭の中の誰が利用していたのかまでは特定できないということです。その家庭の父親なのか母親なのか長女なのか長男なのか、はたまた従兄弟なのか長女の彼氏なのか等々、実際に使っている人までは特定できません。
 
まぁただ、そこまで特定されると大抵は分かりますよね。
 
つまり、少なくとも”通常の利用”であればネットは匿名ではないということです。
 
更に、今年の10月1日からは改正プロバイダ責任制限法が施行されます。これは今まで発信者情報開示請求を行うとなると、少なくとも2回の訴訟を提起することが必要でしたがそれが1回で済むようになり、より発信者情報開示がしやすくなります。
 
以上のように、ネット上での誹謗中傷は発信者情報開示請求により発信者の特定が可能なものです。
誹謗中傷を書き込んだ場合、名誉毀損罪侮辱罪に該当する事案として刑事罰の対象になりますし、当然民事上も損害賠償請求の対象となり慰謝料が請求されることもあります。
 
実際に今回の件でもプロ野球選手である夫の仕事に多大なる影響を与えていますし、社会的な制裁も免れないでしょう。また、被害者にも深い心の傷を与えることとなります。
 
ネット上での誹謗中傷は誰も得をしません。軽い気持ちでの誹謗中傷などは絶対におやめください。